六訂版 家庭医学大全科 の解説
骨と関節の炎症、感染〈総論〉
(運動器系の病気(外傷を含む))
●炎症とは
もともと炎症とは、有害な刺激や危険な異物を察知した時に起こる、体が起こす防御反応です。具体的には、細菌やウイルスなどの病原体、物理的・化学的刺激、アレルギー反応などがあります。これらの刺激から体を守り、元の状態にもどすために、主に免疫のシステムが働いて、局所の痛み、はれ、熱感などを引き起こすわけです。
この刺激が強い時は、炎症もそれだけ大きくなり、体の損傷も大きくなります。また、炎症が長引くと、損傷も大きくなってしまい、病的な状態を引き起こすことになります。
●感染症
骨や関節においても、さまざまな炎症を起こす疾患があります。代表的な疾患は、細菌などの病原体によって起こる骨や関節の感染症です。最近では、抗生物質の進歩によって治療効果もかなりよくなってきましたが、さまざまな問題があり、治療が困難な場合もまだみられるのが現状です。
まず、抗生物質の使用の増加によって、抗生物質が効きにくいMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の比率が高まっているのは、非常に大きな問題です。また、注射、ブロック、手術などが増えることにより、細菌が関節などの体内に侵入する機会が増えています。とくに整形外科領域では、人工関節などの金属を埋め込む手術が増えており、術後の感染は大きな問題となります。
さらに、免疫抑制剤や生物学的製剤などの薬物療法による治療が発達して、治療効果が進歩しましたが、それだけ、感染に対する抵抗力が落ちている患者さんが増えています。
●関節リウマチおよびその類似疾患
また、
最近、これらの病気に対して、サイトカイン療法によって画期的な治療効果がみられており、注目を浴びています。
その他、結晶などの化学的刺激で引き起こされる関節炎に痛風、偽痛風などがあります。以下、これらの代表的な疾患について解説します。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報