脳の表面をおおっているくも膜と呼ばれる組織の細胞から発生し、脳を圧迫しながら大きくなる
近年、脳ドックの普及やCTおよびMRIを撮影される機会が増えたことに伴い、症状が現れる前に見つかる髄膜腫も増えてきました。発生場所は、脳の表面であればどこでもできます。そのほか、頻度は少ないのですが、脳の深いところで
良性の腫瘍で、かつ脳を表面から圧迫するように徐々に大きくなるため、思わぬ大きさになって発見されることもあります。症状としては、てんかん発作、麻痺、感覚障害、性格の変化などが徐々に現れます。時に、髄膜腫ができる場所により、眼で見える範囲が狭くなったり、眼が見えにくくなったり、顔が痛くなったり、めまいなどの症状が現れます。
MRI検査により、腫瘍ができた場所とその大きさを診断します(図35)。時に脳血管撮影が行われます。この検査は、髄膜腫に栄養を与える血管がどこから来るか、まわりの血管、とくに静脈との関係はどうか、などを判断することが可能で、手術のやりやすさを知るうえで重要です。また、頭蓋骨に接して髄膜腫ができた場合、CT検査で骨の細かい断層写真をとります。
手術が基本です。この腫瘍は、頭蓋骨の内側で脳を保護している
時に重要な神経や血管を巻き込んで腫瘍が大きくなっていることがあります。この場合には、頭蓋骨をドリルで
松前 光紀
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
頭蓋(とうがい)内に発生する脳腫瘍(しゅよう)の一種。原発性で、まれに頭蓋の外に発生することがある。良性であることが多いが、一部悪性のものもある。頭蓋骨の裏側にあって脳を覆っている髄膜(硬膜、くも膜)のうち、脳側にあるくも膜の表面を覆うくも膜細胞に由来する腫瘍で、脳や神経を圧迫しながら徐々に形成される。2009年(平成21)の脳腫瘍全国集計調査報告では原発性脳腫瘍の27.1%を占め、発生頻度がもっとも高い。中年以降の女性に好発し、また高齢者に発生する脳腫瘍のおよそ25%を占める。腫瘍の増大につれて脳の圧迫症状が強まり、脳圧が亢進(こうしん)して頭痛や吐き気・嘔吐(おうと)などが生じる。症状は早朝起床時に強い。けいれんを伴うことがあり、発生部位によって片麻痺(まひ)や四肢麻痺あるいは脳神経麻痺を生じ、歩行障害などもみられる。さらに増大し圧迫が強まると物忘れや認知症症状を呈する。腫瘍摘出後の予後は良好であることが多い。
[編集部]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 頭蓋内疾患による頭痛は,なんらかの神経症状を伴うことが普通である。髄膜腫のような腫瘤形成性の病変は頭痛を訴える前に局所症状を呈しやすいが,浸潤性の神経膠腫(こうしゆ)などは大脳半球全体を占めるほどになっても頭痛を訴えないことがある。転移性脳腫瘍もよく頭痛を伴うが,必ずしも激しいものでなく,また一定したものでもない。…
※「髄膜腫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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