高宕山(読み)たかごやま

日本歴史地名大系 「高宕山」の解説

高宕山
たかごやま

宇藤原うとうばら南東にあり、高溝たかみぞ豊岡とよおかおよび君津市奥畑おくはたにまたがる。最高峰は九台くだい(三一五・一メートル)、その北にきた嶽、西になか嶽がある。中嶽の中腹に観音堂、その傍らに長さ数町の洞窟があり、洞窟を過ぎると九台嶽の中腹に出る。九台嶽の頂上には石祠を置き清滝きよたき神社を祀る。天平一五年(七四三)行基が当山に登って十一面観音像を彫り草庵を建立、寺容を構え補陀落山芳泉ほうせん寺と号した。治承期(一一七七―八一)源頼朝が洞窟に潜居して回復を祈り、志を得て黄金で十一面観音像を作り、当山に納め祠田を寄せたという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「高宕山」の意味・わかりやすい解説

高宕山 (たかごやま)

千葉県中部,富津市天羽地区にある山。清澄山地西端にあり,湊川水源地である。標高315m。いたるところに断崖があり,暖帯林が茂る。山地に約400頭のニホンザルが生息し,天然記念物に指定されている。数十匹の群れが餌づけされたが,農業への被害も出ている。内房線上総湊駅からバスで30分の関豊に餌づけされたサルを観察できる自然動物園がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高宕山」の意味・わかりやすい解説

高宕山
たかごやま

千葉県南西部、房総(ぼうそう)丘陵上の君津市(きみつし)と富津市(ふっつし)の境界に位置する山。標高315メートルで、小糸(こいと)川と湊(みなと)川の分水界となっており、一帯は県有林が広くて県下有数の森林地帯をなす。付近にニホンザルが生息し、国の天然記念物に指定されているが、その餌(え)づけが成功して高宕山自然動物園が開設され、県立高宕山自然公園区域に入っている。山の東側には「清和(せいわ)県民の森」が開設され、釣りやキャンプに利用されている。

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世界大百科事典(旧版)内の高宕山の言及

【富津[市]】より

…南部の海岸には布引ヶ浜などの海水浴場があり,漁業集落は観光漁業が中心で民宿が多い。高さ56mの東京湾観音が立つ大坪山(124m),ニホンザル生息地(天)の高宕(たかご)山(315m),竹岡にある海食洞の弁天窟のヒカリモ(天)など観光資源にも恵まれている。JR内房線が通じる。…

※「高宕山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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