高適(読み)コウセキ

デジタル大辞泉 「高適」の意味・読み・例文・類語

こう‐せき〔カウ‐〕【高適】

[702ごろ~765]中国盛唐詩人渤海ぼっかい山東省)の人。あざな達夫たっぷ辺境風物を歌った詩にすぐれた作が多い。こうてき。

こう‐てき〔カウ‐〕【高適】

こうせき(高適)

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精選版 日本国語大辞典 「高適」の意味・読み・例文・類語

こう‐せきカウ‥【高適】

  1. 中国、唐代の詩人。「こうてき」ともいう。字(あざな)は達夫。河北渤海の人。官は左散騎常侍に進み、渤海県侯に封ぜられる。辺塞離情を詠う詩を多く作った。岑参(しんじん)とともに「高岑」と並称される。著「高常侍集」。(七〇〇頃‐七六五

こう‐てきカウ‥【高適】

  1. こうせき(高適)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高適」の意味・わかりやすい解説

高適(こうせき)
こうせき
(707?―765)

中国、唐代盛期の詩人。「こうてき」とも読む。字(あざな)は達夫。滄州(そうしゅう)(河北省)の人。豪放な性格で、若いときには生業に従わず、河南放浪して李白(りはく)、杜甫(とほ)と交わった。40歳のころ有道科に推挙されて封丘(河南省)の尉となり、安禄山(あんろくざん)の乱後には彭(ほう)州、蜀(しょく)州(ともに四川(しせん)省)の刺史(しし)として、成都に流れてきていた杜甫と旧交を温めた。のちに剣南節度使を経て、刑部侍郎、散騎常侍(さんきじょうじ)に進んだ。その詩は豪壮にして沈痛、辺境の苦しみや戦争の悲惨さを詠じた辺塞詩(へんさいし)に長じ、岑参(しんしん)とともに盛唐詩の一面を代表する。『高常侍集』8巻には240余編の詩と21編の散文を収める。『新唐書』の伝に、50歳を過ぎて詩を学んだとあるのは誤伝である。

[黒川洋一]

『鈴木修次著『唐代詩人論 上』(1973・鳳出版)』『小川環樹編『唐代の詩人――その伝記』(1975・大修館書店)』


高適(こうてき)
こうてき

高適

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改訂新版 世界大百科事典 「高適」の意味・わかりやすい解説

高適 (こうせき)
Gāo Shì
生没年:706?-765

中国,盛唐の詩人。字は達夫。滄州渤海(山東省)の人。杜甫と親交があった。青年時代には博徒と交わっていたが,のち官は左散騎常侍に至り,銀青光禄大夫を加えられ,渤海県侯の爵位を賜るなど,唐の詩人としては珍しく高官に達した。岑参しんじん)とならんで辺塞詩人の称があり,辺境砂漠地帯に取材した作品が有名である。通行本として《高常侍集》8巻が伝わる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高適」の意味・わかりやすい解説

高適
こうせき
Gao Shi

[生]長安2(702)頃
[没]永泰1(765)
中国,盛唐の詩人。滄州渤海 (ぼっかい。山東省) の人。「こうてき」とも読む。字,達夫,仲武。豪放な性格で若い頃は仕官を望まず,任侠と放浪の生活をおくった。天宝8 (749) 年有道の科に推挙され,封丘の尉となったが官を捨てて辺塞を遊歴,河西節度使哥舒翰に認められその幕僚となり,のち刑部侍郎,左散騎常侍に進んだ。 50歳を過ぎてから詩作を志したが,たちまち文名があがった。実際に体験した軍隊生活に基づく『燕歌行』『薊門』『塞下曲』などの辺塞詩が当時の辺境の情況をよく反映した作品として有名で,同じ辺塞詩人で友人の岑参 (しんじん) と「高岑」と並称される。詩文集『高常侍集』。

高適
こうてき

高適」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の高適の言及

【杜甫】より

… 青年時代各地を漫遊し,744年(天宝3)洛陽ですでに名だたる詩人であった李白と出会い,権威に媚びないその自由な精神に強くひきつけられた。奔放と謹厳という好対照の性格をもつ2人の友情はこれ以後生涯変わらず,さらにこの時期に出会った高適(こうせき)を加えて,3人で過ごした日々は杜甫にとって生涯にわたる貴重な思い出となった。751年〈三大礼の賦〉が玄宗の賞賛を得るが,なかなか官職にはつけず,貧窮のため妻子との別居を余儀なくされ,755年ようやく微職を得たが,安禄山の反乱によってすべてを失った。…

※「高適」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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