高知県安芸郡馬路村の北部にある集落。奈半利(なはり)川上流域は年間4000mm近い降水量と温暖な気候に恵まれ,古くから〈魚梁瀬杉〉と呼ばれる形質優良な杉の自生地として知られ,江戸時代には土佐藩は御留山として保護・統制を加えた。とくに集落北方約10kmにある千本山(1084m)は土佐十宝山の随一と称された。樹齢200年以上,樹高平均40mに達する天然杉が生育し,仰ぎ見たきこりがあまりの高さに鉢巻を落としたという〈鉢巻落し〉や夫婦杉などがある。1918年学術保護林とされ,64年には付近一帯が魚梁瀬県立自然公園に指定された。1911年馬路村と田野町との間に森林軌道が開通し,14年には魚梁瀬まで通じた。32年には奈半利川に沿う軌道も通じ,用材輸送や村民の交通の便に供していたが,60年廃止され,トラック輸送に変わった。65年奈半利川下流にロックフィル式の魚梁瀬ダムが完成し,集落は湖底に没し,上方の丸山台に新しい集落が建設された。林業従事者が多く,魚梁瀬営林署(現,魚梁瀬森林事務所)や貯木場,製材所がある。
執筆者:正木 久仁
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
高知県東部、安芸(あき)郡馬路(うまじ)村の北部の地区。奈半利(なはり)川上流に位置し、一帯は温暖な気候と年間4000ミリメートルを超える降水量により良質のスギが自生し、魚梁瀬杉として知られ、土佐藩政期には御留山(おとめやま)として保護された。なかでも千本(せんぼん)山中腹には樹齢200年以上、平均樹高40メートルの杉の美林が形成され、学術保護林に指定されている。かつては木材を河口の奈半利、田野へ森林軌道で搬出したが、現在はトラック輸送にかわった。1965年(昭和40)下流側に魚梁瀬ダムが建設され、集落は湖底に水没し丸山台に新しい町が建設された。地名は、平家の落人(おちゅうど)がしかけた簗(やな)が流され、その存在を知られたという伝説によるという。
[正木久仁]
…西は安芸市,北は徳島県に接する。安田川上流域の馬路地区と奈半利川上流域の魚梁瀬(やなせ)地区よりなる。標高1000m以上の山々が重なりあう山岳地帯で,温暖多雨の気候によって,森林資源に富み,古くから杉の産地として知られ,特に魚梁瀬の千本山保護林は日本三大美林の一つに数えられる。…
※「魚梁瀬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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