奈半利(読み)なはり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「奈半利」の意味・わかりやすい解説

奈半利(町)
なはり

高知県南東部、安芸(あき)郡の町。土佐湾に臨む。1916年(大正5)町制施行。中心集落の奈半利は奈半利川河口左岸に立地、右岸田野(たの)町と対向集落をなす。奈半利川流域の豊かな林業地を背景に材木の集散地として栄え、貯木場、掘込み式港などもある。『土佐日記』の奈半の泊(とまり)の地であり、近世、土佐藩主の参勤交代路の一つである野根山越えの谷口にもあたる。古い町並みが残されていて登録有形文化財に登録されている建物もある。養蚕、製糸業でも知られたが、現在、海岸部の狭小な平地では施設園芸、スイカなどを主とする農業がみられる。奈半利港は、県東部の拠点港として整備が進められている。また、南東端の加領郷(かりょうごう)には漁港もある。土佐湾岸沿いに国道55号が通じ、室戸(むろと)、安芸両市と結ばれ、493号が北東方に向う。2002年(平成14)開通した土佐くろしお鉄道阿佐線(ごめん・なはり線)の終着駅の奈半利駅がある。面積28.37平方キロメートル、人口3034(2020)。

[大脇保彦]


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改訂新版 世界大百科事典 「奈半利」の意味・わかりやすい解説

奈半利[町] (なはり)

高知県南東部,安芸郡の町。人口3542(2010)。南西に流れて土佐湾に注ぐ奈半利川河口東岸に位置する。紀貫之の《土佐日記》に〈なはのとまり〉と記された地である。古くから沿海航路の要港で,中世史料にも上方へ木材などを運ぶ廻船の港であったことがみえる。長宗我部氏の部将桑名丹後守の奈半利城もあった。近世以後も安芸郡東部や阿波に通じる要衝として,また奈半利川上流一帯魚梁瀬(やなせ)地区の良材の積出港として栄えた。温暖な気候を生かした園芸作物の栽培が盛んで,特に海岸段丘上のスイカの生産が多い。南端には加領郷(かりようご)漁港があり,沿岸漁業が行われる。古代寺院跡のコゴロク廃寺,式内社に比定される多気(たけ)神社・坂本神社(2社相殿)がある。土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線が通じる。
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百科事典マイペディア 「奈半利」の意味・わかりやすい解説

奈半利[町]【なはり】

高知県東部,土佐湾にのぞむ安芸(あき)郡の町。米作と施設園芸を行う。主集落は奈半利川の河口左岸にあり,上流の魚梁瀬(やなぜ)国有林の木材集散地,積出港で,貯木場,製材所がある。28.36km2。3542人(2010)。

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