奈半利(読み)なはり

改訂新版 世界大百科事典 「奈半利」の意味・わかりやすい解説

奈半利[町] (なはり)

高知県南東部,安芸郡の町。人口3542(2010)。南西に流れて土佐湾に注ぐ奈半利川河口東岸に位置する。紀貫之の《土佐日記》に〈なはのとまり〉と記された地である。古くから沿海航路の要港で,中世史料にも上方へ木材などを運ぶ廻船の港であったことがみえる。長宗我部氏の部将桑名丹後守の奈半利城もあった。近世以後も安芸郡東部や阿波に通じる要衝として,また奈半利川上流一帯魚梁瀬(やなせ)地区の良材の積出港として栄えた。温暖な気候を生かした園芸作物の栽培が盛んで,特に海岸段丘上のスイカの生産が多い。南端には加領郷(かりようご)漁港があり,沿岸漁業が行われる。古代寺院跡のコゴロク廃寺,式内社に比定される多気(たけ)神社・坂本神社(2社相殿)がある。土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線が通じる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報