吉野杉(読み)よしのすぎ

  • ▽吉野杉
  • 工芸用具・工芸材料

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

奈良県南部の吉野川上流にある主体の日本で最も古い人工林地帯に産する杉。固有の芳香を有し,通直,完満,無節の優良な大径材。径級に応じた利用がなされ,間伐材の細いものは海布丸太,おもに和風建築の化粧用材に,やや太いものは磨き丸太として床柱用に仕上げられる。大径材は柾目天井などに木取りされる。そのほかに高級造作材,割柱,建具,桶木などに利用されている。

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百科事典マイペディアの解説

奈良県の吉野川流域を主産地とする杉。恵まれた自然条件から植林は早くから行われ,15世紀初頭に大和(やまと)の三輪(みわ)山・春日(かすが)山の杉の苗木を植えたとされ,江戸時代中期には屋久(やく)島の杉種を移入して改良を図ったという。杉材は吉野川を下らせて河口の和歌山港に運ばれ,海路で大坂市場に送られた。畿内(きない)の酒造地への酒樽用材樽丸)としての需要が高かった。

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世界大百科事典 第2版の解説

大和国(奈良県)吉野郡の吉野川上流地帯を主産地とする杉。奥地川上郷に代表されるこの地方一帯は,杉の造林に好適な立地条件に恵まれていたため植林の歴史は古い。大和の三輪山,春日山に生育する神代杉の苗木を移植したのは文亀年間(1501‐04)と伝えられ,江戸時代中期には屋久島の杉種を移入して品種の改良を図ったとされている。そのころから吉野杉の声価は一段と高まり,現地でのすぐれた杉の植栽法は独特な運材技術とともに広範囲に普及した。

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事典 日本の地域ブランド・名産品の解説

近畿地方、奈良県の地域ブランド。
奈良県吉野地方産の杉材。吉野地方における人工林の歴史は約500年に及ぶ。高品質材として全国的に有名。紅杉と称し、紅淡色で年輪が緻密に揃い強度もある。2008(平成20)年2月、特許庁地域団体商標に登録された。商標登録番号は第5110352号。地域団体商標の権利者は、奈良県木材協同組合連合会・奈良県森林組合連合会。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 奈良県吉野地方に産する杉。良材なので、主として酒樽などを作る。
※春城随筆(1926)〈市島春城〉趣味談叢「灘の樽を造るには必らず芳野杉を以てす、此杉一種の香と色とを有す」

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世界大百科事典内の吉野杉の言及

【スギ(杉)】より

…これらの品種は,生育地のさまざまな集団の中から,永い年代にわたる林業家の努力によって,あるいは実生で,あるいは挿木や伏条性利用の無性繁殖によって,選び出されてできたものが多い。実生系では,米代川流域の秋田杉,富山県立山の立山杉,吉野林業の吉野杉,高知県の魚梁瀬杉,屋久杉などが有名である。吉野杉は,鮮紅色で木理の通った材が柱や樽丸に適して有名となり,全国各地に植えられた。…

※「吉野杉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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