山形県飽海(あくみ)郡遊佐(ゆざ)町の鳥海山山頂に本殿、山麓(さんろく)の吹浦(ふくら)と蕨岡(わらびおか)に口ノ宮(くちのみや)と称する里宮が置かれている。祭神大物忌神(おおものいみのかみ)。朝廷の蝦夷(えぞ)地開拓に伴って尊崇を受け、『延喜式(えんぎしき)』では名神(みょうじん)大社に列し、出羽(でわ)国一宮(いちのみや)とされた。中世以降、武門の崇敬を集め、また修験道(しゅげんどう)の霊場として栄えた。旧国幣中社。例祭は蕨岡口ノ宮が5月3日、吹浦口ノ宮が5月8日で、隔年で交互に行う。社宝に無銘太刀(たち)一振(国宝)、鎌倉幕府奉行人連署奉書、北畠顕信(きたばたけあきのぶ)寄進状(以上国指定重要文化財)などがある。吹浦口ノ宮には正月の管粥神事(くだがゆしんじ)や7月の御浜出(おはまで)神事などの特殊神事を伝える。
[高橋美由紀]
敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...