黒川金山跡(読み)くろかわきんざんあと

日本歴史地名大系 「黒川金山跡」の解説

黒川金山跡
くろかわきんざんあと

[現在地名]塩山市一之瀬高橋

一之瀬高橋いちのせたかはし集落の南にそびえる鶏冠けいかん(とさか山・黒川山とも)中にある鉱山遺跡。広くは同集落周辺の山中にある龍喰谷りゆうばみだに金山なども含める。鶏冠山は標高一七一〇メートルを測り、山頂には鶏冠神社の奥宮が鎮座する。山中には黒川千軒くろかわせんげん寺屋敷てらやしき女郎じよろうゴー、裾の柳沢やなぎさわ川沿いにはおいらんぶちなどの金山にかかわると伝えられる地名遺構が残る。昭和六一年(一九八六)から平成元年(一九八九)にかけて黒川金山遺跡研究会により考古・民俗・文献にわたる総合調査が実施され、発掘調査は黒川千軒・寺屋敷・女郎ゴーの各地点で実施された。

黒川千軒地点は鶏冠山山頂の東北東側の主沢沿いで、上下六〇〇メートル、最大幅四〇〇メートルほどの範囲において大小約三〇〇ヵ所の平地と二十数ヵ所の坑口が確認され、主要部分が発掘調査された。千軒の中央部に位置する通称代官屋敷だいかんやしきの沢対岸には両袖を石垣で固めた坑口があり、その前面の平地から一六世紀前半から中葉にかけての陶器が検出された。ここで一七世紀中葉以降の遺物が見つからないことは、坑口の経営時期にかかわるとみられる。また鉱石粉砕用の石臼や精錬作業に伴うと考えられるスラグが地表面にみられる平地もあり、発掘により掘立柱建物跡とともに金属の溶融に用いられた土器片が出土し、精錬場と考えられている地点もある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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