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黒穂病 くろぼびょうsmut

翻訳|smut

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

黒穂病
くろぼびょう
smut

黒穂菌の寄生によって起る植物の病気。カヤツリグサ科およびイネ科に寄生する。特に穀物につくので注目されている。これにおかされた茎,葉,花部などは真黒な厚膜胞子が塊のようになって生じる。厚膜胞子は発芽して1列に並んだ細胞から成る担子基を生じ,これに担子胞子が生じ,これが再び寄生主に達して寄生する。麦類につくものでは開花期にこの菌におかされたものの穂が黒くなって多数の厚膜胞子を生じ,これが花に飛入り籾の中にとどまって翌年麦の発芽時に体内に入って,再び黒い穂を生じるので大害がある。そのため麦の発芽時に種籾を温湯や薬剤液に漬けて殺菌,菌の侵入を防ぐ方法が行われている。とうもろこしにつく種では雄花,雌花,茎などについて柔らかな饅頭のような塊をつくるので,とうもろこしのお化けと呼ばれる。厚膜胞子はこの組織内にできる。まこもにつく種では,その地下茎がおかされ,地下茎はたけのこのような形に太くなる。これは若いうちは食用になるが,古くなると内部の組織がこわされ,黒い厚膜胞子の塊となる。古くにはこれをまこもの根墨と呼び,乾燥して粉にし,漆器をつくるとき木目に塗り込んで,漆塗りの下地作りに用いた。

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デジタル大辞泉の解説

くろぼ‐びょう〔‐ビヤウ〕【黒穂病】

黒穂菌が寄生して生ずる植物の病害病斑を作り、黒色の粉が充満する。稲・麦・トウモロコシ・ネギなどに多くみられる。

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百科事典マイペディアの解説

黒穂病【くろほびょう】

担子菌類クロボキン目に属する菌類の寄生による植物の病気。オオムギ,コムギ,カラスムギ,トウモロコシなどを冒し,多くは穂,時に茎葉に黒色の病斑を生じる。腥(なまぐさ)黒穂病,裸黒穂病,堅(かた)黒穂病,墨黒穂病など種類が多い。

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世界大百科事典 第2版の解説

くろぼびょう【黒穂病 smut】

植物の穂あるいは花の部分に,ぎっしりと黒い粉(黒穂胞子)が詰まって実が正常に実らない病気。オオムギ,コムギ,トウモロコシ,サトウキビ,ママコノシリヌグイなどでよく見られる。黒穂病菌(クロボキン)は担子菌類のクロボキン目Ustilaginalesに属する菌の総称で,いずれも自然条件では生きた植物(被子植物)に寄生する。世界では約35属1100種が知られており,日本には17属が分布している。寄主植物の茎,葉,花などに胞子堆が発達し,内部に多量の黒穂胞子ができる。

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大辞林 第三版の解説

くろぼびょう【黒穂病】

黒穂菌の寄生によって起こる植物の病害。ムギ・トウモロコシなどイネ科作物のほか、ユリ科・ナデシコ科などにも見られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

黒穂病
くろほびょう

担子菌類のクロボキンによる植物の病気で、単子葉植物、とくにイネ科植物に多く発生する。黒穂病にかかると多くの場合、花とくに子房が侵され、黒い粉を生ずる。種類が多くムギだけでも裸(はだか)黒穂病、なまぐさ黒穂病、稈(から)黒穂病、堅(かた)黒穂病がある。このほかトウモロコシ黒穂病、タマネギ黒穂病などの被害が大きいほか、イネ墨(すみ)黒穂病、モロコシ糸(いと)黒穂病などがある。
 これらの黒穂病の病原のおもな属は、ウスティラゴUstilago、ティレティアTilletia、ウロシスティスUrocystisなどである。もっとも代表的なものは、ウスティラゴ属菌の寄生によっておこるオオムギおよびコムギの裸黒穂病で、病気にかかると穂が黒くなる。黒い穂は病原菌の厚膜胞子の塊で、風によって飛散し、開花中のムギの花の柱頭から侵入し子房の中に潜伏する。翌年感染した種子が播(ま)かれると菌は苗の成長(生長)点に達し、出穂(しゅっすい)時には穂全体が侵され黒い穂になる。トウモロコシ黒穂病もウスティラゴ属菌の寄生による。茎、葉、種子などにこぶをつくり、その中に黒い粉が充満している。とくに種子の肥大が著しく「おばけ」ともよばれる。ムギなまぐさ黒穂病は、外観は健全にみえるが、種子を割ってみると黒褐色の粉が充満しており、生臭い悪臭を放つ。病原菌はティレティア属である。
 黒穂病はいずれも種子によって伝染するので、冷水温湯浸などの熱処理、または薬剤による種子消毒を行って防除する。[梶原敏宏]

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