いとこ煮(読み)いとこに

日本大百科全書(ニッポニカ) 「いとこ煮」の意味・わかりやすい解説

いとこ煮
いとこに

福島、新潟山形香川などの各県にみられる郷土料理アズキとともに野菜などを煮たもの。その起源は古く、1643年(寛永20)版の『料理物語』のなかに、「あずき、ごぼう、いも、だいこん、豆腐焼栗(やきぐり)、くわいなどを入れ、中みそにてよし、かようにおいおいに入れ申すによりいとこ煮か」と解説されている。煮るのに時間が多くかかるものから入れていくが、『料理物語』にあるように、おいおい(甥々)に入れるので従兄弟(いとこ)煮であるという説と、年中行事の際つくられるお事煮がなまっていとこ煮となったという説もある。

多田鉄之助

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「いとこ煮」の解説

いとこ煮

東北北陸四国などの一部地域など、全国に広く伝わる郷土料理。ダイコンニンジン里芋などの野菜、コンニャク油揚げなどを入れた煮物小豆を加えたもの。浄土真宗においては報恩講仏事の際に供される報恩講料理のひとつで、小豆が入るのは親鸞上人の好物であったためと言われる。

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