ネコノチチ(読み)ねこのちち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネコノチチ」の意味・わかりやすい解説

ネコノチチ
ねこのちち / 猫乳
[学] Rhamnella franguloides (Maxim.) Weberb.

クロウメモドキ科(APG分類:クロウメモドキ科)の落葉高木。高さ10メートルに達し、枝は褐色を帯びる。葉は長楕円(ちょうだえん)形で長さ5~13センチメートル、黄緑色で先端は尾状にとがる。5~6月、葉腋(ようえき)に小形の集散花序をつけ、黄白色で径約4ミリメートルの小花を開く。果実核果で長楕円形、初め黄色でのち黒色に熟す。山地に生え、東海地方南部以西の本州から九州、および朝鮮半島、中国に分布する。名は、果実の形がネコの乳首に似ることによる。

 ネコノチチ属は東アジア、ヒマラヤ、ニューギニアなどに8種分布する。

[門田裕一 2019年12月13日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネコノチチ」の意味・わかりやすい解説

ネコノチチ(猫の乳)
ネコノチチ
Rhamnella franguloides

クロウメモドキ科の落葉高木。西日本の太平洋側の暖地雑木林に生える。葉は長さ6~10cmの倒卵状長楕円形で,先端は尾状にとがり,基部は円形で微細な鋸歯がある。表面は帯黄緑色で毛はなく,羽状脈は表面でくぼむ。基部に小さな托葉がある。夏に,葉腋から短い柄を出し,先端に柄のある黄白色の小花を数個集めてつける。小さな三角形状の萼片と,花弁が各5枚あり,おしべも5本ある。果実は長楕円形の核果で,長さ 1cmほどあり,黒色に熟して多少光沢がある。和名は果実の形による。

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