バートン(英語表記)Robert Burton

デジタル大辞泉 「バートン」の意味・読み・例文・類語

バートン(Richard Francis Burton)

[1821~1890]英国の探検家・文筆家。インド・アフリカアラビアなどの探検記録を著した。また、「アラビアンナイト」の英訳はバートン版として有名。

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精選版 日本国語大辞典 「バートン」の意味・読み・例文・類語

バートン

  1. ( Sir Richard Francis Burton サー=リチャード=フランシス━ ) イギリスの探検家、東洋学者、紀行文作家。アラビアのメッカに潜入して記録を著わし、また未踏のアフリカ奥地に入りタンガニーカ湖を発見。「アラビアンナイト」の完訳で知られる。(一八二一‐九〇

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改訂新版 世界大百科事典 「バートン」の意味・わかりやすい解説

バートン
Robert Burton
生没年:1577-1640

イギリスの文人。オックスフォード大学を出て牧師となったが,彼の名声は奇書《憂鬱(ゆううつ)の解剖》(1621)による。〈憂鬱(メランコリー)〉とは,当時(ルネサンス末期)の時代病のようなもので,今日の〈ノイローゼ〉や〈心身症〉と似て,日常会話のレベルで話題にされていた。ハムレットの性格造形もこの風潮にもとづいているといわれる。バートンはこの時代病を,中世からルネサンスを通じての常識であった気質論にもとづいて〈解剖〉してみせる。各種の症状やその原因の分類があり,話題は恋愛や宗教に及び,ついには治癒方法も語られる。基本の思想は,宗教的抗争の時代における寛容の美徳の主張であったといえよう。古今の万巻の書を渉猟しつつ,独特のユーモアペーソスでつづる語り口は,英語の文体としても特色があり,17世紀の古典となった。
執筆者:


バートン
William Meriam Burton
生没年:1865-1954

アメリカの石油化学技術者,企業家。1889年にジョンズ・ホプキンズ大学を卒業,学位を取得してのち,スタンダード・オイル会社(インディアナ)に入社。1909年ころから原油の熱分解蒸留(クラッキング)の研究に取り組み,13年1月インディアナ州ウィッティングでその工業化に成功した。彼の発明は他社の石油工場でも相次いで採用され,後の石油化学工業発展に重大な役割を果たした。18年スタンダード・オイル会社社長に就任,同年石油化学への功績に対してギブズ・メダル,21年パーキン・メダルを受賞した。
執筆者:


バートン
Richard Francis Burton
生没年:1821-90

イギリスの探検家,学者。インド駐留軍人として,インドをはじめ中東やアフリカなど各地を旅行し,インド滞在記,奥ナイル川探検記などを発表した。またアラビアのメッカを訪れた(1853)もっとも初期のイギリス人の一人である。近東地方の諸言語を研究し,晩年は文学に傾倒,《アラビアン・ナイト》(《千夜一夜物語》)を原語から英訳した(全16巻,1885-88)。この完訳は現在でも〈バートン版〉として知られている。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「バートン」の意味・わかりやすい解説

バートン

米国の映画監督。ロサンゼルス生れ。生地バーバンクはディズニー社の本拠地。同社でのアニメーターをへて,実写映画《フランケンウィニー》(1984年)で注目される。同社退社後《ピーウィーの大冒険》(1985年)を手がけたのち,《ビートルジュース》(1988年)がヒット。以降,人気コミックの映画化《バットマン》(1989年),《シザーハンズ》(1990年),《バットマン・リターンズ》(1992年),実在の映画監督をモデルにした《エド・ウッド》(1994年),J.ニコルソン他出演のキッチュなSF怪奇映画《マーズ・アタック!》(1996年)などを発表。1950年代―1960年代のSF映画や怪奇映画を想起させるグロテスクな雰囲気と,シニカルな笑いに満ち,少年期の夢想を映像化したような作風に特徴がある。

バートン

英国の探検家,東洋学者。インド,近東地方を研究,1853年変装して聖地メッカに潜入。次いでアフリカ各地を探検,1858年にはタンガニーカ湖に到達した。《千夜一夜物語》の完訳(1885年―1888年)は〈バートン版〉と呼ばれ名訳とされている。
→関連項目アナンガランガカメルーン[山]スピークタンガニーカ[湖]

バートン

英国の化学者。王立理工科大学卒。ハーバード大学教授,グラスゴー大学教授などを歴任後,1957年王立理工科大学教授。シクロヘキサンについてO.ハッセルの提起した立体配座の概念を,テルペン,ステロイドなど生体に重要な役割を果たす複雑な炭素環式化合物にまで適用し,その構造を究明した。1969年ハッセルとともにノーベル化学賞

バートン

米国の女性人道主義者。南北戦争の際に傷病兵看護組織を結成,普仏戦争にも従軍。1882年米国赤十字社を設立。赤十字運動を戦傷者保護活動から天災などの救済事業にまで拡大した。

バートン

英国の牧師,文人。主著《憂鬱の解剖》(1621年)は博覧強記,雅趣に富む文体で鳴る奇書。N.フライ《批評の解剖》の表題は本書を含意したもの。

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化学辞典 第2版 「バートン」の解説

バートン
バートン
Barton, Sir Derek Harold Richard

イギリスの有機化学者.1938年ロンドン大学インペリアル・カレッジに入学し,1942年Ph.D.を取得.インペリアル・カレッジ,ハーバード大学,バーベック・カレッジ,グラスゴー大学を経て,1957年インペリアル・カレッジの有機化学教授となった.1977~1985年,フランスのパリ郊外のGif-sur-Yvetteにあるフランス国立科学センター(CNRS)有機化学研究所で研究を行い,定年後,テキサスA&M大学教授となった.O. Hassel(ハッセル)によって説明されたシクロヘキサンのいす形構造の考えをもとに,配座解析の概念を提唱した.この功績により,1969年Hasselとともにノーベル化学賞を受賞.また,アメリカ化学会のRoger Adams Medal(1959年)など,数々の賞を受けた.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「バートン」の解説

バートン Burton, William Kinninmond

バルトン

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「バートン」の解説

バートン

生年月日:1809年8月22日
スコットランドの歴史家
1881年没

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世界大百科事典(旧版)内のバートンの言及

【千夜一夜物語】より

…多数の作者の手を経たらしいが,いくつかの詩のほかは,原作者の名は不明である。日本では,明治8年(1875),永峯秀樹が《開巻驚奇・暴夜(アラビア)物語》と題して英訳から重訳したのが最初で,レーンEdward William Lane(1801‐76),R.F.バートン,マルドリュスJoseph Charles Mardrus(1868‐1949)らの英訳またはフランス語訳からの重訳が行われてきた。平凡社東洋文庫版《アラビアン・ナイト》は,カルカッタ第2版,ブーラーク版などに拠る原典からの訳である。…

【ナイル[川]】より

…隊の達した最南地点はゴンドコロで,ビクトリア湖の下流約500kmの地点であった。ナイル川をさかのぼるのではなしに,東アフリカ海岸から内陸に入るというコースを取ったのはイギリスの探検家R.F.バートンとスピークJohn Speke(1827‐64)である。彼らは58年2月タンガニーカ湖を発見した。…

【男色】より

…古代の神話や伝説の多くに,例えばギルガメシュとエンキドゥ(《ギルガメシュ叙事詩》),ホルスの腿間にペニスを挿入したセト(《ホルスとセトの争い》),イエスがだれよりも親密な交わりをもったヨハネ(《黄金伝説》)など,男色を疑わせる話がある。またR.バートンの《千夜一夜物語》英訳本の巻末論文には〈男色〉の一節があって,古今東西のおびただしい例を挙げている。その中で〈ローマやエジプトではイシスをまつる神殿は男色の中心であり,この宗教的行為はメソポタミアからメキシコ,ペルーにいたる偉大な神官階級によって行われていた〉と述べているように,男色は古代宗教と密接に結合していた。…

【メランコリー】より

… メランコリーがしかし歴史の脚光をあびるのはルネサンス期に入ってからで,たとえばドイツの画家デューラーは1514年に有翼の女性の沈思の姿をかりて銅版画《メレンコリア・I》を描き,同時代のミケランジェロはメディチ家の廟を《ペンセローソ(沈思の人)》で飾り,1世紀後のミルトンも同名の詩をつくってメランコリーを賛美する。さらに,1621年に出た牧師R.バートン《メランコリーの解剖学(憂鬱の解剖)》は当時のベストセラーの一つだったと伝えられる。このように,メランコリーが哲学や芸術と結びつけられて人気を博すことになったのは,イタリアのフィレンツェに興った新プラトン主義の影響によるものとされる。…

※「バートン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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