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SF映画 エスエフえいが science fiction film

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

SF映画
エスエフえいが
science fiction film

映画技術のトリック的側面をいかしたジャンル。架空の出来事を扱うが,題材は SF小説によって開拓されたものが多い。技術的には,高速度撮影微速度撮影,逆回転撮影,1コマ撮影,種々の画面合成および光学焼き付けミニチュアの使用などによる。

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世界大百科事典 第2版の解説

エスエフえいが【SF映画 science fiction film】


[H.G.ウェルズからB級映画へ]
 SF映画の歴史は,1895年,イギリスの作家H.G.ウェルズが彼の空想科学小説《タイム・マシン》(1895)のイメージを,友人の科学者R.ポールの協力のもとに,当時発明されたばかりの〈映画〉と幻灯を駆使して,遊園地のびっくりハウス的な幻覚ショーを催したときに始まる。これは一種の疑似体験としての世界最初の視聴覚メディアの実験でもあった。次いで1902年,フランスの奇術師G.メリエスがJ.ベルヌの空想科学小説から初の〈SF映画〉《月世界旅行》を完成した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

SF映画
えすえふえいが

サイエンス・フィクションフィルムscience fiction filmの略称。その名のとおり概念としてのSF映画は文学の一ジャンルであるSF(空想科学小説)に基づくところが大きく、実際面でもSF小説の映画化ないしSF作家がシナリオに参加する場合が多い。SF映画は、宇宙、ロストワールド(失われた世界)、未来世界などの舞台あるいは異星人の地球飛来という状況設定を借りて、あるテーマを語ろうとする傾向と、宇宙空間や異生物のもつ幻想的光景や怪異性に託して作家が想像力を展開させる傾向との間で作品が生まれてきた。そこでは視覚的な効果がつねに重要な要素となる。[出口丈人]

草創期

SF映画は、映画そのものが自己の特性をみいだそうと試行錯誤を重ねていた草創期から早くも現れている。記録性と幻想性という映像の二大特性のうち幻想性の開拓を、ほとんど1人で成し遂げたフランスのジョルジュ・メリエスの作品にSF的な作品が多い。『月世界旅行』(1902)はその代表作である。その後、デンマークのホルガー・マッスンHolgar Madsen(1878―1943)による『火星旅行』(1917)、ロシアのヤコフ・プロタザーノフYakov Protazanov(1881―1945)による『アエリータ』(1924)などに続き、無声末期になると、アメリカではコナン・ドイル原作の『ロスト・ワールド』がハリー・O・ホイトHarry O. Hoyt(1885―1961)により映画化(1925)された。これらの作品は太古と現在が結び付くドラマとして、また特殊撮影の一つの原点として、メリアン・コールドウェル・クーパーMerian Coldwell Cooper(1893―1973)およびアーネスト・ボーモント・シェードザックErnest Beaumont Schoedsack(1893―1979)の『キング・コング』(1933)、そして遠くスティーブン・スピルバーグの『ジュラシック・パーク』(1993)に至る源流となった。
 映画が技術的に進歩し、また科学の発展によって、イギリスの作家オルダス・ハクスリーやチェコの作家カレル・チャペックのように文学者が近未来的な、それもかならずしもバラ色でない内容の作品を書くような時代になると、映画にもそれを反映した作品が生まれてくる。フリッツ・ラングの『メトロポリス』(1926)、ウィリアム・キャメロン・メンジースWilliam Cameron Menzies(1896―1957)の『来たるべき世界』(1936)は未来の生活とその恐怖に踏み込んだ作品である。そして未来世界は、どれも幾何学的な線を主体に構成された塵(ちり)一つないモダンな光景として提示された。[出口丈人]

第二次世界大戦後

第二次世界大戦が終わり、核戦争の恐怖が一般化し、一方では宇宙飛行が現実化してくると、SF映画も一般化してくる。とくにアメリカ、日本など映画の量産国では、通俗的なSF映画がつくられ、一ジャンルをなすようになり、ロボット、原子怪獣など題材も広がってくる。製作・田中友幸(1910―1997)、監督・本多猪四郎(1911―1993)、特撮監督・円谷英二(つぶらやえいじ)の黄金トリオによる『ゴジラ』(1954)の、原爆実験によりよみがえった怪獣が都会を襲う恐怖のシーンは、おりからの原水爆実験の恐怖と同時に日本人の戦争体験がベースになっている。アメリカでは現実の冷戦を反映し、ロバート・ワイズRobert Wise(1914―2005)の『地球の静止する日』(1951)のように、凶暴な宇宙人はソビエトに重ねあわせられた。実際1950年代末には、ソビエトに宇宙飛行で先を越されるというアメリカ社会にショックを与えた状況があった。
 一方ヨーロッパでは、クリス・マルケルChris Marker(1921―2012)の『ラ・ジュテ』(1962)、ジャン・リュック・ゴダールの『アルファヴィル』(1965)、フランソワ・トリュフォーの『華氏451』(1966)、アンドレイ・タルコフスキーの『惑星ソラリス』(1972)など個性的で優れた作品が現れた。
 これら欧米の流れを集大成するように現れたのがスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』(1968)である。特殊効果を駆使し体感的な表現を追求したこの作品は、SF映画にとどまらず映画の流れそのものに影響を与えているが、カラーの大画面の威力にふさわしいSF映画の先駆ともなった。それはアポロ宇宙船が月面に着陸したころのことであった。[出口丈人]

『スター・ウォーズ』以後

『スター・ウォーズ』の登場した1970年代中盤以後、SF映画はアメリカを中心にますます隆盛をみせた。『エイリアン』全4作(1979~97)が象徴しているように、傾向も多様に移り変わっている。ジョージ・ルーカスの『スター・ウォーズ』(1977)や『スタートレック』シリーズ(1979~ )などのスペース・オペラ(宇宙を舞台にした活劇)、スピルバーグの『未知との遭遇』(1977)、『E.T.』(1982)などの異星人とのコミュニケーションを問題にするもの、リドリー・スコットRidley Scott(1937― )の『ブレードランナー』(1982)、ジェームズ・キャメロンJames Cameron(1954― )の『ターミネーター』(1984)、『ターミネーター2』(1991)、スピルバーグの『A.I.』(2001)など人間とロボットの境界を通し人間のアイデンティティをドラマの核とする作品などの主要な傾向がある。
 この時期には、未来世界の表象が変わり始めた。それまでの幾何学的な線による清潔な世界にかわり、『ブレードランナー』のアジアの町中のような路地や、テリー・ギリアムTerry Gilliam(1940― )の『未来世紀ブラジル』(1985)のどこか昔風の都会などが現れて、長年にわたり観客のなかに醸されてきた未来のイメージを揺すぶった。
 コンピュータ・グラフィクスの導入により、1980年代の特殊効果は大きく前進した。『エイリアン2』『ターミネーター2』などでアカデミー視覚効果賞を受賞したスタン・ウィンストンStan Winston(1946―2008)、『E.T.』『ジュラシック・パーク』などで同賞を受賞したデニス・ミューレンDennis Muren(1946― )らの専門家の活躍や、ルーカスの肝いりで設立されたILM(Industrial Light & Magic:インダストリアル・ライト&マジック)社の発展などによって、現実には不可能なシーンの視覚化が次々と実現されていった。[出口丈人]

現状

その後もコンピュータ・グラフィクスは発達・普及を続け、スピルバーグの『シンドラーのリスト』(1993)、ロバート・ゼメキスの『フォレスト・ガンプ/一期一会(いちごいちえ)』(1994)など、SFとは無関係なドラマに使われるまでになった。またアメリカ映画に刺激を受けて日本をはじめとする各国もこのような映像表現を取り入れるようになった。かつてSFXと呼び習わされていた特殊効果も、2000年代に入ったころからVFXといいかえられた。
 ルーカスはそれまでの『スターウォーズ』三部作を核に、それ以前の時代を舞台にした三部作に着手し、『スターウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)、『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002)、『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005)を発表、根強い人気にこたえ、これらの作品群は「スターウォーズ・サガ」ともよばれるようになった。
 しかし既存の世界をもとにキャラクターをその先へと展開させるこうした試みの一方で、「スターウォーズ・サガ」が手本となった異形のキャラクターを、幅広い観客の共感を得る範囲で次々に生み出すことに限界がみえてきた。
 異形を競う傾向はむしろピーター・ジャクソンPeter Jackson(1961― )の『ロード・オブ・ザ・リング』三部作やクリス・コロンバスChris Columbus(1958― )他監督の「ハリー・ポッター・シリーズ」などのファンタジーに移り、それまでのSF映画のブームは一段落した。というよりも、こうしたファンタジー映画には多分にSF映画に通じる感覚が認められ、SF映画の延長とみなすこともできる。このことが示すように、SF映画とホラー、ファンタジーなど隣接ジャンルとの境界はあいまいなものになってきている。
 一方、従来の正統的SF世界を思わせるポール・バーホーベンPaul Verhoeven(1938― )の『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997)、スピルバーグの『マイノリティ・リポート』(2002)、『宇宙戦争』(2005)などの作品は、それぞれロバート・ハインラインの原作の映画化(『スターシップ・トゥルーパーズ』)、フィリップ・K・ディックの短編(『マイノリティ・リポート』)、H・G・ウェルズの古典(『宇宙戦争』)と、いずれも、1950年代までのSF(小説)に基づくもので、現代のオリジナルではない。宇宙という到達不可能な世界を鏡として人間の姿を描こうとするものであった初期のSFの存立条件は、宇宙開発の現実化が進行するにつれ、根底から覆された。そうした状況を反映するSFの姿もまた変わらざるをえない。
 そのようななかで、最近の中心は、現実と夢あるいは幻想、過去と現在、世界ともう一つの世界、いわゆるアナザー・ワールドなどを登場人物が往還する、内面的ないし個人的な冒険に移ってきている。代表的な作品はアンディ・ウォシャウスキーAndy Wachowski(1967― )とラリー・ウォシャウスキーLarry Wachowski(1965― )兄弟が監督した『マトリックス』(2001)、『マトリックス・リローデッド』(2003)、『マトリックス・レボリューションズ』(2003)の三部作である。現代の消費社会ヘの洞察に満ちたジャン・ボードリヤールの著作にインスパイアされたといわれるこのシリーズは、最近では、逆に現代思想の考察の対象ともなっている。[出口丈人]
『中子真治編著『超SF映画』(1980・奇想天外社) ▽北島明弘監修『SF映画の世界』(1991・近代映画社) ▽ロナルド・V・ボースト他編、駒月雅子訳『怪奇SF映画大全』(1997・国書刊行会) ▽双葉十三郎解説『写真で見る外国映画の100年 6 宇宙へ飛び出すSF映画――1972~1984』(1997・近代映画社) ▽『SF MOVIES―SF映画の過去と未来』(2002・ネコ・パブリッシング) ▽ウィリアム・アーウィン編著、松浦俊輔・小野木明恵訳『マトリックスの哲学』(2003・白夜書房) ▽長谷川功一著『アメリカSF映画の系譜――宇宙開拓の神話とエイリアン来襲の神話』(2005・リム出版新社) ▽北島明弘著『世界SF映画全史』(2006・愛育社) ▽石上三登志著『SF映画の冒険』(新潮文庫) ▽永田よしのり編『カルト映画館 SF』(社会思想社・現代教養文庫) ▽北島明弘著『何回でもみたくなるSF映画選集』(講談社プラスアルファ文庫)』

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世界大百科事典内のSF映画の言及

【2001年宇宙の旅】より

…1968年製作。シネラマ・70ミリの大画面によるSF映画で,400万年前の原始時代に始まり,一気に2001年の未来まで飛ぶ。なぞの黒い石板モノリスの秘密を追う宇宙飛行士が,木星に接近してから,異次元空間(サイケデリック効果)にまきこまれ,新人類誕生を予感させるスターチャイルドに生まれ変わるという結末は,飛躍した展開と説明を極度に抑えて解釈を観客各自にゆだねた演出のため,大傑作という評価と冗長で難解という評価にわかれた(日本では大阪・名古屋など一部の地域の封切りで,ラストの〈白い部屋〉のシーンに日本語の解説ナレーションを流すという苦肉の策をとり,かえって観客を混乱させたりした)。…

【メトロポリス】より

…ラング自身は後年,失敗作であったことを認めている。なお,70年代に入って〈アメリカ版〉が,電子音楽のサウンド・トラック入りで,おりからのSF映画ブームに乗って再公開された。【柏倉 昌美】。…

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