水虫(読み)ミズムシ(英語表記)athlete's foot
water eczema

デジタル大辞泉 「水虫」の意味・読み・例文・類語

みず‐むし〔みづ‐〕【水虫】

白癬菌はくせんきんなどの皮膚糸状菌が足の指の間や足の裏に感染して起こる皮膚の病気。小水疱すいほうができたり、皮膚が白くふやけてむけたり、ただれたりし、かゆみが強い。汗疱状かんぽうじょう白癬。水瘡みずくさ足白癬 夏》白癬

㋐ミズムシ科の昆虫。池沼にすみ、体長約1センチ。体は暗黄色で、黒色の縞がある。
半翅はんし目ミズムシ科の昆虫の総称。水生。体は長楕円形で背面は平たく、長くオール状の遊泳に適する脚をもつ。灯火にも飛来する。ふうせんむし 夏》
等脚目ミズムシ科の節足動物。池・溝・水田などにすむ。体形ワラジムシに似て、体長約1センチ、黒茶色で、七対の足がある。

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精選版 日本国語大辞典 「水虫」の意味・読み・例文・類語

みず‐むしみづ‥【水虫】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 水中にすむ虫。
    1. [初出の実例]「蛭螾はひるのやうなものぞ。水虫ぞ」(出典:漢書列伝竺桃抄(1458‐60)賈第一八)
  3. カメムシ(半翅)目ミズムシ科の水生昆虫。体長一センチメートル内外。コミズムシ(フウセンムシ)にきわめてよく似ているがやや大形。暗黄色に細かい黒色の横縞があり、中・後肢が長く、泳ぐのに適する。北海道、本州、九州の池や沼に分布。国外では、千島サハリン、朝鮮半島、中国に分布。《 季語・夏 》
  4. 甲殻綱ワラジムシ(等脚)目ミズムシ科の節足動物。各地の池、沼などの水草の間や泥底に見られる。体長一センチメートル内外。形はワラジムシにやや似ており、七対のあしをもつ。
  5. 魚の異称。
    1. [初出の実例]「ふすゐ鳥〈猪〉 ちくろ〈海士〉水虫〈魚〉」(出典:蔵玉集(室町))
  6. ふつう足趾間に小さな水疱ができ、かゆみの強い病気。白癬菌が皮膚の最表層の角質層に寄生して生ずる。手指、爪にもできる。水瘡(みずくさ)。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「機布ちぢむ越の海西〈菊峯〉 水むしに妹が手の裏あれにけり〈百花〉」(出典:俳諧・其袋(1690)冬)

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改訂新版 世界大百科事典 「水虫」の意味・わかりやすい解説

水虫 (みずむし)
athlete's foot
water eczema

皮膚真菌症の一つ。足に真菌(いわゆるカビ)の一種である皮膚糸状菌が感染して発症する皮膚疾患の俗称で,医学的には足白癬(そくはくせん)tinea pedisあるいは汗疱状白癬という。手や爪の白癬に対しても手水虫,爪水虫と呼ばれることもある。水虫は世界中に広くみられるが,高温多湿の日本では頻度が高く,重要な皮膚疾患の一つである。長時間靴下や靴の着用を余儀なくされる生活に罹患率は高く,一種の文明病の性格も有しているといえる。青壮年の足に好発し,梅雨時から夏にかけて悪化することが多い。不潔,足の多汗症(俗にあぶら足)が誘因となる。

 水虫(足白癬)には次の三つの病型がある。(1)趾間糜爛(びらん)型 最も多い病型で,足の第4指と第5指の間の第4指間に好発し,他の指間や足底に向かって拡大する。指間部は白く浸軟して落屑(らくせつ)し,しばしばただれて発赤する。一般化膿菌による2次感染を起こして,足の腫張,発赤,疼痛,鼠径部(そけいぶ)のリンパ節腫張を生じたり,不適当な外用療法により皮膚炎を併発することもまれではない。(2)小水疱・鱗屑型 土踏まず,足の側縁部に好発し,小水疱が多発する。水疱が乾燥化すると皮がむけてくる。水疱の膜には白癬菌が豊富に存在して他への感染能力は強いが,水疱内容液中には菌は存在しない。(3)角質増殖(角化)型 3型のなかでは最もまれな病型であるが,かかとの部分を中心に角質増殖が著しくなり,全体にざらざらとなり,ときにひびわれやあかぎれを生ずる。以上の病型ともかゆみがあることが多い。

 手水虫(手白癬tinea manuum)は足白癬に比して頻度は少ない。皮疹は遠心性に拡大するが中心部は自然治癒の傾向があり,環状ないし連圏状を呈する。辺縁部は堤防状に隆起し,小水疱,鱗屑,痂皮が著しい。手掌に生ずると角質増殖を伴う病型になることもある。爪水虫(爪白癬tinea unguium)は足指の爪に多く,爪の甲が先端より白く混濁し,しだいに肥厚する。爪はもろくなり,粉末状に脱落する。

 日本の足,手,爪の水虫は紅色白癬菌Trichophyton rubrumと毛瘡白癬菌T.mentagrophytesが二大原因菌である。白癬菌は,ケラチンが豊富な皮膚の最表層ともいえる角質層や爪に寄生し増殖する。鱗屑,水疱膜,爪の顕微鏡検査で白癬菌の菌糸や胞子をみつけることにより容易に診断が可能である。白癬患者の病変部から菌が含まれている鱗屑がはがれ,これを介して感染すると考えられている。

 治療,予防として,足をよく洗って清潔にし,靴下,靴の通気性をよくして足が蒸れないようにすることが大切である。外用療法としては,トルナフテート,ヨードウンデシレン酸クロトリマゾールやミコナゾールなどイミダゾール系薬剤などの抗白癬剤を1日数回塗擦する。また角質増殖型の水虫や爪白癬の場合には,グリセオフルビンやケトコナゾールなど抗白癬内服剤を使用する。近年,さらに優れた抗白癬剤が開発されつつある。
執筆者:

Trichophytonは不完全菌類の不完全糸状菌綱Hyphomycetesに分類される。T.mentagrophytes (Robin) Blanchardは不完全菌類に入れられるが,完全時代もみつかっており,それは子囊菌類,不整子囊菌綱PlectomycetesのArthroderma属に分類されている。なお,T.rubrum (Castell-) Sabour.の完全時代は発見されていない。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「水虫」の意味・わかりやすい解説

水虫【みずむし】

汗疱状白癬(かんぽうじょうはくせん)とも。手足の白癬菌感染症で,足底,足の縁などに小水疱を多発するもの(水疱型),指の間の皮膚が白くふやけ,糜爛(びらん)を生じるもの(趾間糜爛型),足底や手掌の角質が増殖し,肥厚するもの(角化型)の3型に分類される。激しいかゆみを伴い,化膿することも多い。夏に悪化し冬はよくなる。治療はウンデシレン酸などの抗白癬菌軟膏塗布,リゾール浴,グリセオフルビンの外用・内服など。局所の清潔と乾燥が大切。→皮膚真菌症
→関連項目トリコマイシン

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「水虫」の意味・わかりやすい解説

水虫
みずむし

汗疱(かんぽう)状白癬(はくせん)の俗称で、手のひらや足の裏、足の指の間などに皮膚糸状菌(カビの一種)が感染しておこる皮膚病。小水疱を生じ皮がはがれる小水疱型、足の裏の皮膚が厚く硬くなり皮がはがれる角化型、および足の指の間が白くふやけて皮がはがれたりただれたりする趾間(しかん)型がある。

[野波英一郎]

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動植物名よみかた辞典 普及版 「水虫」の解説

水虫 (ミズムシ)

学名:Asellus hilgendorfii
動物。水生動物(節足動物)

水虫 (ミズムシ)

学名:Sigara distanti
動物。ミズムシ科の昆虫

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水虫」の意味・わかりやすい解説

水虫
みずむし

汗疱状白癬」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の水虫の言及

【掌蹠膿疱症】より

…まれにひじ頭,ひざ,頭髪部に紅斑落屑性の変化が出ることがある。水虫(足白癬)や膿疱性乾癬,稽留性肢端皮膚炎などとも類似するので注意を要する。治療としては,病因とみなしうる疾患があれば,まず原疾患に対する治療を行い,次いでステロイド外用療法を主体に行うが,完治するのは難しく,慢性化する。…

※「水虫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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