2017年東京都議会議員選挙(読み)にせんじゅうななねん とうきょうとぎかいぎいんせんきょ

知恵蔵 の解説

2017年東京都議会議員選挙

2017年6月23日に告示され、7月2日に投開票が行われた、東京都議会議員を選ぶ選挙。全42選挙区で、定数127に対し合計259人が立候補した。開票の結果、小池百合子知事が率いる地域政党「都民ファーストの会(以下、都民ファースト)」は、候補者50人のうち49人が当選、改選前の6議席から大幅に議席を増やして、都議会第1党に躍進した。都民ファーストは更に、同会が推薦して当選した無所属候補6人を、選挙後に追加公認し、所属議員は55人となった。また、同会と選挙で協力した公明党は候補者23人全員が当選、地域政党「東京・生活者ネットワーク」は1人が当選し、都議会における小池知事の支持勢力は過半数を超える79議席となった。一方、改選前は57議席を有し、第1党だった自民党は、候補者60人のうち、当選したのは過去最低の23人と大敗した。
共産党は、2議席増の19人が当選し、民進党は、5人が当選と改選前から2議席を減らした。日本維新の会は、改選前と同じ1議席にとどまった。
女性の当選者は36人で、前回(13年)の25人を大幅に上回った。また、当選者の平均年齢は49.2歳と、前回の平均52.9歳と比べて4歳近く若返った。投票率は51.28%と、前回の43.50%を7.78ポイント上回った。
多くの道府県議会議員選挙は、統一地方選挙として、4年に1度、4月に集中して行われるが、東京都議選は、1965年に議員の汚職事件を受け、任期途中で都議会が解散されて以降、6月下旬から7月上旬の間に実施されている。東京都は23区、26市、5町、8村(2017年現在)で構成されているが、選挙区は42で、選挙区ごとの定員は、1(千代田区や島部など)から8(大田区世田谷区)までに分かれている。
今回の選挙では、16年7月の東京都知事選挙で当選し、8月に就任した小池知事が指揮を執る都政への評価や、2020年に開催される東京五輪・パラリンピックの運営、築地市場豊洲市場への移転問題が主な争点となった。立候補者259人の内訳は、自民党60人、公明党23人、共産党37人、民進党23人、都民ファースト50人、東京・生活者ネットと日本維新の会が各4人、社民党1人、諸派・無所属57人。
知事選では、多くの有権者から支持を得た小池知事だが、就任後から、都議会で第1党の自民党と対立が続いた。このため、小池知事を支持する豊島区議らが中心となり、16年9月に小池知事の政治塾を運営する団体として都民ファーストを設立し、17年1月からは地域政党としての活動を始めた。同会は塾生を中心に都議選の候補者を擁立、小池知事は6月、もともと所属していた自民党を離党して同会の代表に就任した。
報道各社の情勢調査によると、序盤は都民ファーストと自民党とが競り合っていたが、都民ファーストは小池知事の高い人気を追い風に徐々に支持を伸ばした。一方、自民党は、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡る問題や、応援演説での稲田朋美防衛大臣(当時)の自衛隊を巡る失言、国会議員の秘書への暴行疑惑などが続いて失速し、多くの保守層の票が、都民ファーストの会に流れた。国政選挙などで協力してきた公明党と連携できなかったのも響いた。告示までに離党者が相次いだ民進党や、候補者が集められなかった日本維新の会は、存在感を示せなかった。
小池知事は、都民ファーストが都議会の第1党となり、都民らから議会の行政チェック機能を不安視する意見が出たことを受け、17年7月3日、同会の代表を辞任した。

(南 文枝 ライター/2017年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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