地方公共団体の首長や議員の選挙日を可能な範囲で全国的に統一して行う選挙。選挙作業にあたる職員の人件費などの経費を節減すると同時に、地方選挙への有権者の関心を高め、投票率を引き上げるねらいがある。日本では、1947年(昭和22)に新しい地方自治制度が始まって以降、4年ごとに、3~5月(年によっては3~6月)に任期満了を迎える首長と議員の選挙を4月に集中的に実施している。政府は4年ごとに公職選挙法の臨時特例法(地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律)を制定して選挙日を統一する。2015年(平成27)の統一地方選挙が第18回目であった。通常、4月前半に知事、政令指定都市長、道府県議会議員、政令指定都市議会議員、4月後半に一般市区町村長、市区町村議会議員と、前後半の二度に分けて行う。平日に選挙を行った年もあったが、1971年以降は日曜日に統一されている。国政選挙の補欠選挙なども同時に実施されることが多い。また、国政選挙と国政選挙の間に実施される場合は、売上税導入(1987)や自衛隊の海外派遣(1991)など、国政選挙並みの政治課題が争点になることもあり、選挙結果によっては与野党選挙責任者の辞任につながることもある。
しかし、任期途中の首長・議員の辞職・死亡、議会解散、地方自治体合併などで選挙の実施時期がずれ、各自治体が統一地方選挙以外の時期に選挙を行うことが増えている。このため全地方選挙に占める実施割合を示す統一率は1950年代に4割台であったが、2007年以降は3割を切っている。なお阪神・淡路大震災や東日本大震災後には、被災地の選挙が統一時期より2か月から6か月延期された。
統一地方選挙のほぼ半年前までに実施される地方選挙を「プレ統一地方選」とよび、統一地方選挙の前哨戦(ぜんしょうせん)として各政党が国政選挙並みの体制で臨むことがある。2015年時点では福島・沖縄・愛知県などの知事選挙や福岡・北九州などの政令指定都市市長選挙がこれに該当する。海外では、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、オーストラリア、韓国(全国同時地方選挙)、台湾、シンガポールなどで統一地方選挙が行われている。
[矢野 武 2015年12月14日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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