東京都内に11カ所ある中央卸売市場の一つ。旧築地市場(中央区)の老朽化などを理由に、都が約2・3キロ離れた東京ガス工場跡地(江東区)に整備した。土壌汚染対策の不備などが表面化し、開場は当初予定より2年遅れた。敷地面積は約40ヘクタールで築地の約1・7倍。水産卸売場棟、水産仲卸売場棟、青果棟を中心とする3街区に分かれており、それぞれの施設は衛生面や鮮度管理に配慮した閉鎖型施設となっている。
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東京都が開設する11か所ある中央卸売市場の一つ。80年余り続いた築地(つきじ)市場の移転先として2018年(平成30)10月11日、東京都江東区豊洲地区(築地から2.3キロメートル)に開場した。敷地面積は約41万平方メートルで築地市場の約1.8倍。水産品関係がメインである(卸・仲卸の売場面積:3万8000平方メートル)が、青果・農産品関係(同:1万5000平方メートル)も開設されている。本新市場による取扱計画では、開場5年後の2023年には水産品の関係では2017年実績(築地市場:38万トン)の1.6倍となる推定である。また、施設的に広くなっただけではなく、今後の卸売市場整備のモデルともいえるような新たな特徴を備えている。第一に、卸売場は基本的に全天候・閉鎖型で鮮度・品温管理がなされ保冷環境が保たれるとともに、外気の流入に伴う埃(ほこり)・虫・鳥等の進入が抑えられる。無論、手洗い・手指消毒、靴底消毒を行う入場管理室があり、食の安全確保レベルを飛躍的に高めた。第二に、荷さばきや駐車スペースの確保により荷物整理を円滑、効率的に行う物流動線が確保されるとともに、小分け、仕分け、加工等ができる施設も整備されている。第三に、都内最大級といわれる太陽光発電や外気冷房システムの導入、LED照明や屋上緑化など、環境への配慮や省エネルギーに取り組む機能が整えられている。第四に、見学路や学習サービス機能の確保を通じて市民や観光客への情報発信を図るとともに、物販や飲食店街のほか場内のにぎわいや活気を創出する「先客万来施設」事業が計画されている(この施設は2023年に開業の見込みである)。当面は食のイベント等でスペースは利活用される見通しである。
豊洲新市場の開場にはさまざまな困難な問題が起こった。まず、築地市場移転の方向が具体的に模索されたのは1990年代後半であり、東京都卸売市場整備計画で正式策定されたのは2001年であるが、その後用地取得をめぐる疑惑や地下水・土壌汚染の問題、ならびに膨大な整備費用問題等が噴出して都政を巻き込む議論に発展した。また、築地の関係業者のなかでの移転賛否論争が再燃するなど一時都民のなかにも不信が広がり、都は当初計画した開業(2016年11月)を延期する等の対応を迫られる経緯もあった。新市場はなお施設整備の途上でもあり、今後期待した成果を実現できるか関係者や都民の注目を集めるところである。
[廣吉勝治 2019年6月18日]
(2018-10-16)
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