2017年衆議院議員選挙(読み)にせんじゅうななねん しゅうぎいんぎいんせんきょ

知恵蔵の解説

2017年衆議院議員選挙

2017年10月に行われた第48回衆議院議員選挙のこと。安倍晋三首相が9月28日、緊迫する北朝鮮情勢や消費税の使途変更などへの対応を巡り、国民の信を問うとして衆議院を解散した。選挙は10月10日に公示され、10月22日に投開票が行われた(台風21号の影響で、松山市など一部の自治体は開票作業を23日に延期)。定数465(小選挙区289、比例代表176)に対し、1180人(小選挙区936人、比例代表855人)が立候補した。そのうち611人は、比例代表選挙と小選挙区選挙に重複立候補した。開票の結果、自民党が、追加公認した3人を含めて、選挙前と同じ284議席(小選挙区218、比例代表66)を獲得した。公明党の29議席(小選挙区8、比例代表21)と合わせると313議席となり、憲法改正の発議に必要な全議席の3分の2(310議席)を上回った。自民党は、常任委員長ポストを独占し、各委員会で過半数を確保できる「絶対安定多数」の261議席も超えた。
立憲民主党は、追加公認した1人を含めて55議席(小選挙区18、比例代表37)と、公示前(15議席)の3倍以上の候補者が当選、野党第1党となり、政党が単独で内閣不信任決議案や予算に関する法案を提出できる51議席を上回った。東京都の小池百合子知事が代表を務めた(11月に辞任)希望の党は50議席(小選挙区18、比例代表32)、共産党は12議席(小選挙区1、比例代表11)、日本維新の会11議席(小選挙区3、比例代表8)、社民党2議席(小選挙区、比例代表各1)だった。日本のこころと新党大地は議席を確保できなかった。無所属は、自民党と立憲民主党に追加公認された4人を除く22人が、小選挙区で当選した。
女性の候補者は209人中47人が当選。前回(14年)の選挙より2人増え、定数に占める割合は10.1%と、2009年の選挙の11.3%に次いで高くなった。投票率は53.68%で、戦後最低だった前回の52.66%に次いで低くなった。期日前投票をした人は、全有権者の20.10%にあたる過去最多の2137万9982人に増えた。また、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられて初の衆院選となったが、小選挙区における18、19歳の投票率は41.51%と全体の投票率を下回った。
今回の選挙では、安倍政権の存続や憲法9条の改正の是非、安全保障、消費税増税などが主な争点となった。「1票の格差」(選挙区間の人口格差)是正のため、定数が10(小選挙区6、比例代表4)削減されて実施された。
公示直前の9月末、16年の東京都知事選挙で当選し、17年7月の東京都議選挙でも自身が率いる地域政党が大幅に議席を増やした小池知事が希望の党を結成すると、民進党の前原誠司代表(当時)が希望の党への事実上の合流を提案、立候補予定者全員の希望の党からの出馬を求めた。ところが小池知事は、公認を希望する立候補予定者のうち、憲法改正などで政策が一致しないリベラル系の希望者を「排除」すると発言。反発した民進党の枝野幸男代表代行(当時)らが、10月初めに立憲民主党を結成し、野党第1党だった民進党の候補者は、希望の党、立憲民主党、無所属に分かれた。選挙戦では、自民党・公明党の与党と、憲法改正に前向きな希望の党・日本維新の会、憲法改正に反対する共産党・立憲民主党・社民党の3勢力が争う構図となったが、野党候補の乱立により、与党への批判票が分散し、結果に影響したとみられる。
安倍首相は、北朝鮮への圧力強化などの政策で国民の信任が得られたとして、11月1日に第4次安倍内閣を発足させた。また、小池知事は11月14日、希望の党の代表を辞任した。

(南 文枝 ライター/2017年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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