日本大百科全書(ニッポニカ) 「4学期制」の意味・わかりやすい解説
4学期制
よんがっきせい
学校の1年間を四つの授業実施期間に分ける制度。クォーター制、1年4学期制ともいう。学期の区切りや休暇の配分は学校によりさまざまであるが、4~5月を1学期、6~7月を2学期、10~11月を3学期、12~2月を4学期とし、2学期と3学期の間に夏季休暇、4学期中の12月末から1月初めに冬季休暇、4学期の後に学年末休暇(春休み)を挟むのが一般的である。
日本の大学の多くは4月入学で、そのほとんどが2学期制を導入している。そのため、欧米の大学の8割が実施している秋入学とは学期の区切りにずれがあり、留学希望者や研究者の受け入れがむずかしく、日本の学生が欧米の大学の夏休み(6~8月)に行われるサマースクールに参加することなどにも不都合な点が多い。そのため、2011年(平成23)、東京大学が大学の入学時期をこれまでの4月から9月に移行する改革案を公表し、具体的な議論が始まった。しかし、国家試験の実施時期や私企業の採用時期をはじめとする諸制度の整備が進まない限り、秋入学の全面実施には支障が多いとして、2013年、東京大学は今後も検討を続けるとしながらも当面の秋入学への全面移行は見送り、2015年度から全学部で4学期制(東京大学では「4ターム制」)に移行した。4学期制については、2012~2013年度から慶応義塾大学や早稲田大学の一部学部で導入されており、2014年度以降はお茶の水女子大学や広島大学など、多くの大学で導入されている。
4学期制の導入に合わせ、授業配分も変更された。2学期制では1科目の講義を1週間に1回ずつ行い、単位取得までに4か月かけていたものを、週2回の講義で1科目を1学期の間(2か月間)で終えるようにし、原則として学期ごとに単位が取得できる。これにより、学生も教員も学期ごとに特定の授業や研究に集中して取り組めることが期待される。また、留学やインターンシップの機会を増やし、グローバルな人材育成を進めることが4学期制導入のねらいであるため、4学期制を導入している多くの大学は必修科目を2学期(6~7月)以外に割り振ることで、2学期を休学し、夏期休暇と合わせて短期の海外留学などをする時間を確保できる仕組みを整えている。
[編集部 2023年7月19日]