HIVプロテアーゼ阻害剤（読み）エイチアイブイプロテアーゼソガイザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版

HIVプロテアーゼ阻害剤

製品名
《アタザナビル硫酸塩製剤》
レイアタッツ（ブリストル・マイヤーズスクイブ）
《ダルナビル・エタノール付加物製剤》
プリジスタ（ヤンセンファーマ）
プリジスタナイーブ（ヤンセンファーマ）
《ダルナビル・エタノール付加物・コビシスタット配合剤》
プレジコビックス（ヤンセンファーマ）
《ネルフィナビルメシル酸塩製剤》
ビラセプト（日本たばこ産業、鳥居薬品、中外製薬）
《ホスアンプレナビルカルシウム水和物製剤》
レクシヴァ（グラクソ・スミスクライン、ヴィーブヘルスケア）
《リトナビル製剤》
ノービア（アッヴィ）
《ロピナビル・リトナビル配合剤》
カレトラ（アッヴィ）

　プロテアーゼという酵素を阻害することで、ヒト免疫不全ウイルス（HIV）の増殖に必要な蛋白質たんぱくしつの産生を抑制します。ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤との併用療法として使われます。

①発疹ほっしん、かゆみなどの過敏症状、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、重い腎機能障害、膵炎、出血傾向などが現れることがあります。そのほかリトナビル製剤では、錯乱、けいれん発作、脱水、高血糖、糖尿病、肝不全、アナフィラキシーが、ロピナビル・リトナビル配合剤では、高血糖、糖尿病、肝障害、徐脈性不整脈、多形紅斑が、ネルフィナビルメシル酸塩製剤で、糖尿病、血糖値の上昇、ホスアンプレナビルカルシウム水和物製剤で、高血糖、糖尿病、出血傾向、横紋筋融解症、筋炎・筋痛、アタザナビル硫酸塩製剤で、重い肝障害、肝炎、糖尿病、糖尿病悪化及び高血糖、心室頻拍、房室ブロック、多形紅斑、中毒性皮疹、尿細管間質性腎炎、ダルナビル・エタノール付加物製剤やダルナビル・エタノール付加物・コビシスタット配合剤で、急性汎発性発疹性膿疱症、肝障害、黄疸、急性膵炎が現れることがあります。

　このような症状が現れたときは使用を止め、すぐ医師に相談してください。

②吐き気・嘔吐、下痢、頭痛、めまい、好中球減少、呼吸困難、不眠症、異常な夢、うつ病、疲労、皮膚変色、筋力低下などが現れることがあります。

　こうした症状が現れたときには、医師に相談してください。

①錠剤、カプセル剤、内用液で、アタザナビル硫酸塩製剤、ダルナビル・エタノール付加物製剤、ダルナビル・エタノール付加物・コビシスタット配合剤は食事中または食直後に服用してください。医師・薬剤師の指示を守り、かってな判断で増量・減量したり、中止しないでください。

②問診の際にあらかじめ、持病・アレルギーなどの体質、現在使用中の薬の有無などを医師に報告してください。

③過去にこの薬で過敏症状をおこしたことのある人には使用できません。必ず医師にその旨を報告してください。また、リトナビル製剤、ロピナビル・リトナビル配合剤、ダルナビル・エタノール付加物製剤、ダルナビル・エタノール付加物・コビシスタット配合剤では腎機能または肝機能障害のある人でコルヒチンを使用中の人、ホスアンプレナビルカルシウム水和物製剤ではアンプレナビルに対しての過敏症がある人、重い肝機能障害のある人、アタザナビル硫酸塩製剤では重い肝障害がある人、ダルナビル・エタノール付加物製剤、ダルナビル・エタノール付加物・コビシスタット配合剤では低出生体重児、新生児、乳児、3歳未満の幼児には使用できません。

④妊婦または現在妊娠している可能性のある人、母乳で授乳中の人、肝機能障害がある人、血友病で出血しやすい人、器質的な心疾患で心伝導障害のある人は、使用できないことがあります。

⑤薬の使用により、体脂肪の分布異常（腹部の脂肪増加、顔・手足の脂肪減少）がおこることがあります。

⑥これらの薬を使用中に、ほかの薬を使用する必要が生じたときには、前もって必ず医師に相談してください。

　これらの薬とトリアゾラム、ピモジドは併用できません。

　リトナビル製剤は、アミオダロン塩酸塩、ミダゾラム、エルゴタミン酒石酸塩、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、エルゴメトリンマレイン酸塩、エレトリプタン臭化水素酸塩、アゼルニジピン、ブロナンセリン、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、リバーロキサバン、リオシグアト、キニジン硫酸塩水和物、ベプリジル塩酸塩水和物、フレカイニド酢酸塩、プロパフェノン塩酸塩、ピロキシカム、アンピロキシカム、リファブチン、ジアゼパム、クロラゼプ酸二カリウム、エスタゾラム、フルラゼパム塩酸塩、ボリコナゾールと併用できません。

　ロピナビル・リトナビル配合剤は、ミダゾラム、エルゴタミン酒石酸塩、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、エルゴメトリンマレイン酸塩、アゼルニジピン、ブロナンセリン、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、リバーロキサバン、リオシグアト、ボリコナゾール、グラゾプレビル水和物と併用できません。

　ビラセプトは、アミオダロン塩酸塩、ミダゾラム、アルプラゾラム、リファンピシン、エレトリプタン臭化水素酸塩、キニジン硫酸塩水和物、バッカク誘導体、エプレレノンと併用できません。

　ホスアンプレナビルカルシウム水和物製剤は、エルゴタミン酒石酸塩、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、エルゴメトリンマレイン酸塩、リファンピシン、バルデナフィル、ベプリジル塩酸塩水和物、アンプレナビルと併用できません。

　アタザナビル硫酸塩製剤は、ミダゾラム、エルゴタミン酒石酸塩、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、エルゴメトリンマレイン酸塩、リファンピシン、ブロナンセリン、バルデナフィル、アスナプレビル、シンバスタチン、インジナビル硫酸塩エタノール付加物、プロトンポンプ阻害剤、セイヨウオトギリソウ、ロミタピドと併用できません。

　ダルナビル・エタノール付加物製剤は、ミダゾラム、エルゴタミン酒石酸塩、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、エルゴメトリンマレイン酸塩、アゼルニジピン、ブロナンセリン、シルデナフィル、バルデナフィル、アスナプレビル、ベプリジル塩酸塩水和物、グラゾプレビル水和物と併用できません。

　ダルナビル・エタノール付加物・コビシスタット配合剤は、ミダゾラム、エルゴタミン酒石酸塩、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、エルゴメトリンマレイン酸塩、アゼルニジピン、ブロナンセリン、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、リバーロキサバン、アスナプレビル、バニプレビル、グラゾプレビル水和物、シンバスタチン、セイヨウオトギリソウ、ロミタピドと併用できません。

⑦リトナビル製剤、ロピナビル・リトナビル配合剤、ダルナビル・エタノール付加物製剤、ダルナビル・エタノール付加物・コビシスタット配合剤では、めまいや眠気がおこることがあります。自動車の運転や危険を伴う作業にたずさわるときは、医師に相談してください。

出典　病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版