マンデルブロー(その他表記)Mandelbrot, Benoit

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マンデルブロー」の意味・わかりやすい解説

マンデルブロー
Mandelbrot, Benoit

[生]1924.11.20. ポーランドワルシャワ
[没]2010.10.14. アメリカ合衆国,マサチューセッツ,ケンブリッジ
ポーランド生まれの数学者フラクタル概念の創始者として知られる。フラクタルは経済学,金融,株価変動天文学,コンピュータ科学などにおけるさまざまな現象の記述に用いられてきた。1945~47年フランスエコール・ポリテクニク,1947~49年アメリカ合衆国のカリフォルニア工科大学などで学んだのち,プリンストン高等研究所においてジョン・フォン・ノイマンのもとで研究。1958年から 1993年まで IBMトーマス・J.ワトソン研究センターに勤務。1974年リサーチフェローに就任。1987年からエール大学の教師を兼務し,1999年に数理科学スターリング教授に就任。数学における反復操作によって得られる複雑な図形を記述する概念として,1980年にフラクタルを提唱した。フラクタルは全体と部分の自己相似性(→相似)があり,整数ではない次元をもつという特徴がある。フラクタルは自然界に多く見出されるほか,株価の変動など幅広い分野に現れ,それは,著書フラクタル幾何学』The Fractal Geometry of Nature(1982)において多角的に論じられている。マンデルブローの名前を冠して呼ばれるマンデルブロー集合は,フラクタルの特徴的な性質をもつ集合である。1993年ウルフ財団物理学賞,2003年日本国際賞受賞。

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百科事典マイペディア 「マンデルブロー」の意味・わかりやすい解説

マンデルブロー

アメリカの数学者。ユダヤ人で,ポーランドのワルシャワ生れ。フランスに移住し,パリ大学などで学ぶ。1958年にアメリカへ渡り,研究所の所員や大学の客員教授などを務め,のちにイェール大学教授となった。同大学名誉教授。IBM社の研究所の研究員時代に,複雑な図形が全体と部分で共通の幾何学構造を有するという〈フラクタル〉という幾何学の概念を提唱した。この概念は通信工学・経済学・芸術など幅広い分野でも応用されている。

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