MRJ(読み)えむあーるじぇい

知恵蔵の解説

MRJ

三菱航空機が開発・設計・販売し、三菱重工業が製造する国産初のジェット旅客機。近距離用小型ジェット機(RJ)需要の高まりを背景に、各国の航空会社から400機以上の受注を得て、2015年11月に初飛行を終えた。量産機の製造が進められているが、納入開始は早くても18年半ば以降となる。
太平洋戦争敗戦後の日本の旅客機製造は、1964年に東京オリンピックの聖火を日本全国に空輸するというパフォーマンスで就航したYS-11(エンジンは英国ロールスロイス製)を始まりとする。YS-11の後に、軽飛行機や自衛隊機、近年ではビジネスジェット機(乗客定員は多くても10人前後)のHonda Jetなどが開発されているが、旅客機の製造は久しく途絶えたままだった。このため、MRJはYS-11の後継機ではなく、まったく新たに企画されたものだが、YS-11に次ぐ2代目の国産旅客機といわれる。
MRJは2系統6種のタイプで多少差があるが、座席数は70席から90席程度、機体は全長約35メートル前後、全幅約30メートルで、素材は主にアルミ合金製である。米国P&W製のターボファンエンジンを搭載し、巡航速度はマッハ0.74、航続距離は1000から2000マイル(約1850から3700キロメートル)で日本国内をほぼカバーする。カタログ価格は1機50億円程度で、月産10機を見込んでいる。
MRJ開発計画は、02年に経済産業省が打ち出した環境適応型高性能小型航空機研究開発に沿ったもので、環境面に配慮し高い燃費性能などを有する小型機として、三菱重工を中心にいくつかの企業やJAXA(宇宙航空研究開発機構)などが加わり開発が進められた。事業化が本格的になり、08年に三菱重工を筆頭株主とする子会社として、MRJの設計、販売、サポートなどを行う三菱航空機が設立された。当初は11年に初飛行、13年の納入を目指したが、設計変更や安全認証に向けた準備作業の遅れなどが度重なった。15年になって初飛行に成功し、18年半ばに納入するとしたものの、現在は更なる延期が見込まれている。このため、初飛行後も受注は伸び悩み、16年9月末までに447機、目標とする1000機の半数にも満たない状況である。近距離用小型旅客機で競合するブラジルの航空機大手エンブラエルの最新鋭機も納入開始が迫っており、MRJにこれ以上の遅延が続けば多数のキャンセル発生も考えられる。MRJ開発が長期化したため、三菱重工は当初の予定を大幅に上回る3千億円規模の開発費を投入したといわれる。同社は、超大型客船建造での2千億円近い損失や、中核事業である電力や鉄道、産業機械などにおける国際競争激化などから、不動産子会社を売却して財務基盤を再編強化していくとしている。

(金谷俊秀 ライター/2016年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

MRJ

ミツビシ・リージョナル・ジェット。三菱重工業とその子会社、三菱航空機がてがける小型ジェット旅客機。経済産業省が事業者を公募し、これに応じた三菱重工が2008年から開発を本格化させた。座席数は約70席と約90席の機種がある。この日飛んだ約90席のタイプは、カタログ価格が4730万ドル(約58億円)、巡航速度マッハ0.78、航続距離は最長タイプで3770キロ。全長は35.8メートルでジャンボの約半分だ。

(2015-11-11 朝日新聞 夕刊 1総合)

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デジタル大辞泉の解説

エム‐アール‐ジェー【MRJ】[Mitsubishi Regional Jet]

Mitsubishi Regional Jet三菱航空機が開発・製造を進めている、国産初の小型ジェット旅客機。三菱リージョナルジェット。→リージョナルジェット
[補説]88人乗りのMRJ90と76人乗りのMRJ70があり、航続距離は1880~3770キロメートル。2015年に初飛行を行っており、2020年の納入を目指す。YS-11以来、約50年ぶりの国産旅客機となる。

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知恵蔵miniの解説

MRJ

日本製の小型旅客機「三菱リージョナルジェット」の略称。2008年、全日空からの受注を受け、三菱航空機株式会社が中心となり開発、製造している。第二次大戦後初めて日本メーカーが開発した旅客機「YS-11」に次ぐものであり、初の国産ジェット機。「環境適応型高性能小型航空機」として、噴射式のターボファンエンジンを搭載、機体の軽量化、空気抵抗を減らすなど、燃費効率においても従来型より格段の向上を実現した。12年7月、米航空持ち株会社スカイウェストより同機100機を受注することが発表され、累計発注数は230機となった。試験機の初飛行は13年10月~12月の予定。

(2012-07-12)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

MRJ
エムアールジェー

三菱重工業の子会社三菱航空機によって開発中の小型ジェット旅客機。地域航空路線に使うことを想定し,Mitsubishi Regional Jetの名前から,略して MRJと呼んでいる。座席数は標準 76席の MRJ70と 88席の MRJ90が計画され,燃料効率の高いエンジン 2基を装備する。これにより航続距離は 3300~3900kmと長く,フランスのパリを起点とすればロシアのモスクワ,北ヨーロッパ,北アフリカを含めて,ヨーロッパ全域をカバーする。またアメリカ合衆国のデンバーを中心にするとニューヨーク,マイアミ,ロサンゼルス,シアトル,それにカナダのオタワなど北アメリカ全域を無着陸で飛ぶことができる。2015年11月,日本初のジェット旅客機として名古屋空港で初飛行に成功,本格的な開発段階に入った。ただし飛行試験が進むにつれて,いくつかの修正点が見つかった。特に主翼の強度不足が伝えられ,その補強のために量産機の引き渡し開始が当初の 2017年半ばから 2018年半ばと 1年ほど遅れることになった。2015年末現在の受注数は 407機(うち確定 223機)で,全日本空輸 ANAの 25機(うち 10機は仮注文),日本航空 JALの 32機をはじめとして,アメリカその他の航空会社と契約を結んでいる。

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