家庭医学館 「HIVの予防法」の解説
えっちあいぶいのよぼうほう【HIVの予防法】
●輸血、血液製剤の輸注
現在では輸血用の血液や血液製剤用の血液は、事前に検査をし、HIVのないことが確かめられています。したがって、この検査が適切にされているかぎり、輸血や血液製剤の輸注でHIVに感染することはありません。
●注射器の共用
消毒せずに同じ注射器を使うと、以前注射した人の血液が残っていて、結果的にその人の血液を注射することになります。麻薬や覚醒剤(かくせいざい)の回し打ちではこのようにして感染が広がりました。
日本の医療機関では注射器も針も使い捨てになっていますので、医療機関の注射で感染することはありません。
●性行為
粘膜(ねんまく)と感染者の精液や血液との接触があれば、HIVは感染します。HIVを通さないバリア(コンドームなど)を使えばHIVは感染しません。生殖器の粘膜に潰瘍(かいよう)をつくるような別の病気(梅毒(ばいどく)、ヘルペスなど)があれば、感染しやすくなります。
●母子感染(ぼしかんせん)
妊婦が感染していると胎盤(たいばん)を介して胎児(たいじ)に、出産時に母体の血液と接触ないし母乳を介して新生児に感染することがあります。現在は、妊娠中期の妊婦に抗HIV剤を使うなどの治療ができ、母子感染率を10%以下に下げられるようになりました。
●その他
HIV感染者が触れたつり革、手すり、便座、食器類、お風呂(ふろ)、身の回りの器具・品物などを使っても、HIVに感染することはありません。また、空気感染もありません。
家庭、職場、学校などでHIV感染者と一緒に生活しても、HIVに感染することはないのです。