瀬戸物(読み)セトモノ

デジタル大辞泉 「瀬戸物」の意味・読み・例文・類語

せと‐もの【瀬戸物】

瀬戸焼
陶磁器通称。主に畿内以東の地域で用いられる。→唐津物
[類語]磁器陶器陶磁器焼き物かわらけ土器

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精選版 日本国語大辞典 「瀬戸物」の意味・読み・例文・類語

せと‐もの【瀬戸物】

  1. 〘 名詞 〙 愛知県瀬戸市を中心に産出される陶磁器。瀬戸焼。転じて、陶磁器の総称。やきもの。
    1. [初出の実例]「山のいもむかひ一つ、せと物に五つ四角にならびて」(出典:石山本願寺日記‐証如上人日記・天文五年(1536)一〇月一二日)
    2. 「長足(ちゃうあし)の大きな膳のうへに、いろいろこまかなる瀬戸物(セトモノ)をならべ立る」(出典人情本・春色辰巳園(1833‐35)三)

瀬戸物の語誌

瀬戸の陶磁器は、鎌倉時代に中国(宋)から伝えられ栄えた。近世になると次第に九州の陶磁器に押されていったが、明治期には需要が拡大し、再び発展した。

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改訂新版 世界大百科事典 「瀬戸物」の意味・わかりやすい解説

瀬戸物 (せともの)

大衆向けの日常用陶磁器の俗称。その用語例は1563年(永禄6)に織田信長が下した制札に始まるが,一般に用いられるようになったのは,江戸時代に入って窯業生産の主座から転落した瀬戸,美濃において,大衆向けの日常食器類が主として焼かれ,それが全国的にひろく流通するようになってからであろう。通常,瀬戸物の語を用いるのは近畿地方以東の東日本であり,中国,四国,九州などの西日本では唐津物(からつもの)の語が流布している。しかし高知県の一部では瀬戸物,石川県では唐津物の呼称が用いられており,その境は判然としない。瀬戸・美濃および唐津・有田両者の窯業技術が伝播した地域によって使い分けられていると考えられる。安土桃山時代から江戸時代にかけて,瀬戸,美濃と唐津,有田が日本の窯業生産を東西に二分する形で盛行したことの反映であろう。
陶磁器
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食器・調理器具がわかる辞典 「瀬戸物」の解説

せともの【瀬戸物】

➀主に関西以東で、陶磁器の総称。◇関西以西では、「唐津物」ということが多い。
➁瀬戸焼。

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世界大百科事典(旧版)内の瀬戸物の言及

【尾張国】より

…1842年(天保13)藩は国産会所を設置し独占移出を計画したが,反対が高まり53年(嘉永6)に廃止した。瀬戸の窯業は1792年(寛政4)には年産2万両程度に衰退したが,肥前から磁器の技術を採り入れ藩も積極的に奨励した結果,瀬戸,赤津,下品野(瀬戸市)を中心に隆盛をとりもどし,1802年(享和2)藩は〈三ヶ村窯方御蔵会所〉を設け名古屋の問屋と地元の窯屋を蔵元にし,製品検査をし品質保持につとめ江戸・大坂・京都の取扱い商人を〈尾州瀬戸物支配人〉として一手販売にあたらせ販路を確保した。値段の10%が蔵物益金として藩に上納。…

※「瀬戸物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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