改訂新版 世界大百科事典 「ジャノメドリ」の意味・わかりやすい解説
ジャノメドリ (蛇の目鳥)
sunbittern
Eurypyga helias
ツル目ジャノメドリ科の鳥。この科はジャノメドリ1種よりなる。解剖学上の特徴からツル目に分類されているが,ツル目の他の科との類縁関係は明らかでない。メキシコ南部から熱帯南アメリカに分布し,標高約1000m以下の森林内の河川や湖沼などの水辺におもに生息している。全長約46cm。くちばし,くび,脚はやや長く,全体の感じは一見小型のサギ類に似る。羽色は全体に褐色に富み,濃淡褐色,白色,黒色,赤褐色,黄褐色などの細かい横斑が背,尾,翼上にある。繁殖期には,くびをまっすぐ上げ,翼と尾羽を広げてディスプレーを行うが,幅の広い翼上面に多彩な横帯がよく目だつ。和名は翼上のこの模様が蛇の目模様を思わせることによる。繁殖期は春~夏。生息数が多くなく,生態はほとんどわかっていない。通常1羽かつがいで生活し,小魚,昆虫,エビ,カニなどを食べる。危険になると,ゆっくり飛行して高い樹上に避難する。地上に巣をつくると報告されているが,通常は樹上に営巣するのではないかと推察されている。
執筆者:安部 直哉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報