翻訳|chinchilla
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
齧歯(げつし)目チンチラ科Chinchillidaeの哺乳類の総称。外形がウサギとリスの双方に似ている。南アメリカのアンデス山地に生息し,チリ北部のチリチンチラChinchilla lanigeraとチチカカ湖地方のチビオチンチラ(ボリビアチンチラ)C.brevicaudataの1属2種がある。前者は体長25~26cm,尾長15cmで,後者は体長30~38cm,尾長8cmくらいである。体は長く柔らかなきわめて細い毛でおおわれ,ずんぐりしているが,四肢,とくに前脚は短い。耳介と目が大きく,尾は房状。前足に4指,後足に3指がある。体上面は青みがかった灰色,あるいは茶色っぽい灰色で,耳介の先がふつう黒い。体下面は黄白色。標高3000~5000mの荒地に生息し,岩の割れ目や岩穴に潜む。夕刻から早朝に活動するが,日中も岩穴付近で姿を見ることができる。いろいろな草を食べ,食べるときにはすわって前足で食物をもつ。繁殖期は冬で,この間に2~3回出産し,1腹1~6子,ふつう2~3子を生む。妊娠期間は平均111日。子は35gほどだがすでに毛が生えており,目も開いている。寿命は野生では10年ほどらしいが,飼育下では20歳に及び,15歳でも繁殖するものがある。
チンチラはそのきわめて上質な毛皮が珍重され,16世紀に始まった毛皮目的の乱獲がたたり,20世紀初頭には絶滅寸前となった。南アメリカ各国で捕獲禁止,輸出禁止の処置がとられ,1920年代に入ってから人工的な繁殖にも成功し,何とか絶滅をまぬかれた。現在では増殖したチンチラを放ち,野生での個体数の増大が計られているが,まだ成功していない。
執筆者:今泉 忠明
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…顔,のど,首の下面,四肢は黒色,後頭から首,背,腰の背面と尾は灰色,頭頂から短い耳介と首側を通り前肢の基部に達する顕著な白帯がある。低地から標高1200mまでの森林や疎林に1対または小群ですみ,木の根や岩の下,倒木のうろ,ビスカチャ(チンチラに近縁の齧歯(げつし)類)などが掘った穴などをすみかとする。動作はすばやく,巧みに木に登り,またよく泳ぐ。…
…毛皮用に供される動物は100種以上にのぼるが,動物の希少価値,毛皮製品の使用性に応じて,その経済的価値には大きな差異を生ずる。高級毛皮としては,ミンク,キツネ,テン,チンチラ,カラクールなどがある。ミンク,キツネなどが飼養され,またメンヨウ,ヤギ,ウサギなどの家畜が多く利用されている。…
※「チンチラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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