夏の冷房、冬の暖房などによって生まれる、日単位あるいは年単位の電力需要のピーク(頂点)を低く抑えること。ピークカットは和製英語で、本来の英語はpeak shaving。エネルギー源の多くを海外に頼る日本では、オイル・ショック以来、省エネルギーの必要性が認識されてきたが、2011年(平成23)の東京電力福島第一原子力発電所事故以降、ピークカットという形で注目されるようになった。通常、電力供給力が最大使用電力をどの程度上回っているかを示す電力予備率が3%を割り込むと、強制的なピークカットが必要になるとされている。恒常的にピークカットを達成できれば、電力需要のピークにあわせて設計する発電設備への投資を減少させる効果があるとされる。
ピークカットにはさまざまな手法があり、強制的手法として、福島第一原子力発電所事故後にとられた計画停電など、電力使用を規制・制限する方法がある。経済的手法としては、ピーク時間帯の電気料金を高めに、それ以外の時間帯を低めに設定する方法や、電力需要のピーク時間帯を避けて電気を使うピークシフトに報奨金や協力金を支払う手法などがある。これらの経済的手法は、消費者や企業などにピーク時の電力使用を控えるよう呼びかける、家電などの節電ノウハウを普及させるなどの、消費者に広く啓蒙(けいもう)する手法と組み合わせることが有効とされている。さらに、供給力を高めることで、相対的に最大需要を低く抑える手法も、広義にはピークカット手法に含まれる。たとえば、消費電力を低く抑えた省エネ機器を普及させる、夜間などの低需要時に蓄電する、ピーク時に集中的に電力を供給できる揚水発電など複数電源を組み合わせる、大規模事業所による自家発電設備の導入を促す、などが該当する。
[編集部]
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