長野・富山県境,飛驒山脈(北アルプス)北東部にある山。後立山連峰の中央部,鹿島槍ヶ岳と大黒岳の間に位置する。標高2814m。山頂部は山脈の南北方向に対して直角に,東西に伸びた山稜をつくっており,頂部がヒン(玢)岩,谷底が花コウセン緑岩からなる。東側は鹿島川の源流部のシラタケ沢の深い谷に向かって岩壁がそそり立ち,多数の岩稜があって岩登りの対象となっている。西側は黒部川の支流である東谷と餓鬼谷の間に長大な尾根をのばし,多重山稜や小凹地をその上にのせている。山頂の南西斜面や北面はソリフラクション作用で岩礫(がんれき)の移動する斜面になっているが,シラタケ沢源流部やその反対側の白岳北斜面は小型のカール(圏谷)地形をなす。縦走路以外の登山路としては,白岳から東へ伸びる遠見尾根伝いが一般的で,大糸線の神城(かみしろ)駅から登る。標高820mの山麓から1520mの尾根上まで空中ケーブルがある。山名は東斜面の岩壁にある菱形の割れ目をもつ大岩を武田氏の御紋の意味で御菱(ごりよう)と呼んだという説,後立山の後立(ごりゆう)が語源とする説もある。
執筆者:五百沢 智也
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