鹿島槍ヶ岳(読み)カシマヤリガタケ

デジタル大辞泉 「鹿島槍ヶ岳」の意味・読み・例文・類語

かしま‐やりがたけ【鹿島槍ヶ岳】

富山長野県境にある山。飛騨山脈後立山うしろたてやま連峰中の代表的な山。山頂は南峰(標高2889メートル)と北峰(2842メートル)に分かれている。高山植物が豊富。浸食の進んだ壮年期の山で槍のようにとがった山容と、山麓地名鹿島をとってこの名がつけられた。中部山岳国立公園に属する。

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日本歴史地名大系 「鹿島槍ヶ岳」の解説

鹿島槍ヶ岳
かしまやりがだけ

立山連峰のほぼ中央、立山町・宇奈月うなづき町・長野県大町市の境界にそびえ、角閃石岩や輝石安山岩からなる。標高二八八九・七メートル。南槍・北槍の両峰が並び立ち、両峰間のつり尾根も美しい双耳峰で、しかも多くの岩場を有する。山名は鹿島(現大町市)の里の槍の意であるが、この呼称は明治以後で、古くは背競せくらべ岳とも、また雪形にちなみつるヶ岳・しし岳ともよばれたという。越中側の古名は後立山であった。元禄一三年(一七〇〇)の奥山御境目見通絵図(県立図書館蔵)に後立山の名でみえ、以後ほとんどすべての新川郡絵図の類に重要な山体として後立山の名で記載されているが、やがて山脈全体の総称ともなっていく。ウシロタテヤマは音読してゴリュウザンともよばれたが、別の山と誤解され、五龍ごりゆう岳の山名も生じた。

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改訂新版 世界大百科事典 「鹿島槍ヶ岳」の意味・わかりやすい解説

鹿島槍ヶ岳 (かしまやりがたけ)

長野県と富山県の県境部にある山。山頂部には南と北に二つの尖峰が並び立ち,最高部は南峰頂上で,標高2889m。飛驒山脈の北東部,後立山連峰のほぼ中央に位置し,北は五竜岳,南は爺ヶ岳へ続く。けわしい山稜を示し,山体は北部が花コウセン緑岩,山頂付近が安山岩類で構成されている。氷河時代に,積雪を岩壁下に集めて雪崩集積型の氷河を形成したと考えられ,北東斜面には〈カクネ里〉というU字谷地形が,また南東斜面には氷塊をもつ同様な地形の〈北股本谷〉がある。東面には荒沢,北西面には東谷,南西面には棒小屋沢があって山体を刻み,四面が岩登りの好対象となっている。おもなコースとしては,北壁主稜,荒沢奥壁北稜,東谷奥壁,南峰ダイレクト尾根,東尾根などがある。山麓からの登山コースとしては,大町よりバスで鹿島の集落に入り,大谷原から赤岩尾根,冷池小屋を経由して南尾根から南峰に達するものがある。
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百科事典マイペディア 「鹿島槍ヶ岳」の意味・わかりやすい解説

鹿島槍ヶ岳【かしまやりがたけ】

長野県,富山県の境,後立山連峰にある山。標高2889m。花コウ岩からなり,山頂は南峰(最高点)と北峰の双耳峰からなり,北峰の北側は北壁と呼ばれ,稜線のこの部分は八峰(はちみね)キレットとなっている。鹿島川上流の大川沢の谷頭はカクネ里と呼ばれるカール地形を呈する。
→関連項目中部山岳国立公園日本百名山八方尾根

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鹿島槍ヶ岳」の意味・わかりやすい解説

鹿島槍ヶ岳
かしまやりがたけ

長野・富山県境にあって北アルプスの北部をなす後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)の山。長野県大町市街の北西部にある双耳峰。標高2889メートル。山頂は槍状に突出するところから、山麓(さんろく)の地名鹿島をとりこの名がつけられた。山頂の尖峰(せんぽう)は南槍と北槍の二つに分かれ、両槍を結ぶ吊(つり)尾根の美しさはみごとで、遠方からでもその独特の山容が認められる。東側は急斜面で鹿島川の谷頭に落ち込む。この谷に平家の落武者の子孫と伝える鹿島の集落があり、茨城県鹿島神宮の末社を祀(まつ)っている。西方黒部川の谷へは緩やかな傾斜で臨む。山頂の北東部、鹿島川の源流付近の地形は氷食によるともいわれている。山頂の南に爺ヶ岳(じいがたけ)、北の五龍岳(ごりゅうだけ)との間には八峰キレット(鋭く切れ込んだ鞍(あん)部)があり、縦走路の難所となっている。縦走には約6時間かかる。

[小林寛義]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鹿島槍ヶ岳」の意味・わかりやすい解説

鹿島槍ヶ岳
かしまやりがたけ

長野・富山県境,飛騨山脈の後立山連峰にある山。標高 2889m。斑岩が主体で,山頂は南槍,北槍と呼ばれる2つの尖頂に分れる。山頂南部の冷池 (つべたいけ) 小屋のある冷池にはクロサンショウウオが生息。北東面のかくね里の上部は,600mの北壁をなす。東面に雪どけ期に現れる岩の形から,しし岳,鶴ヶ岳とも呼ばれた。長野県側の山麓には多くのスキー場がある。中部山岳国立公園に属する。

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