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新潟、長野、富山、岐阜4県にまたがる国立公園。北アルプスを中心とする地域で、北は朝日岳(2418メートル)の北部から南は乗鞍岳(のりくらだけ)(3026メートル)まで南北約91キロメートル、東西約30キロメートルに及び、面積1743.23平方キロメートル。1934年(昭和9)、日本におけるアルプス型の高山地域と、残り少ない原始的な峡谷を有する特色ある山地として指定。広範な公園は北からほぼ五つの連山に分けられる。公園の中央にある三俣蓮華(みつまたれんげ)岳(2841メートル)・鷲羽(わしば)岳(2924メートル)・水晶岳(2986メートル)・黒部五郎岳(2840メートル)・双六(すごろく)岳(2860メートル)などの山々を中心とする北アルプス中央山地と、その北部の薬師岳(2926メートル)・立山(たてやま)(3015メートル)・剱(つるぎ)岳(2999メートル)・毛勝(けかち)山(2415メートル)に至る立山連峰、立山連峰東部の針ノ木岳(2821メートル)から北へ鹿島槍(かしまやり)ヶ岳(2889メートル)・白馬(しろうま)岳(2932メートル)・朝日岳に至る後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)、中央山地南部の槍・穂高連峰とその東の燕(つばくろ)岳(2763メートル)・大天井岳(2922メートル)から常念山脈に連なる山々および樅沢(もみさわ)岳(2755メートル)から笠(かさ)ヶ岳(2898メートル)に至る山稜(さんりょう)、それに乗鞍火山群の五つである。山々を黒部川、高瀬川、梓(あずさ)川、蒲田川の源流が深い峡谷を刻み、稜線全体の形が山の字状を呈している。これらの山稜部、とくに立山、剱岳周辺と槍・穂高連峰東側に氷河時代につくられたカール地形が多く、鋭い山容をみせる。これと対照的に、中央山地には日本でもっとも高い地にある溶岩台地の雲ノ平があり、立山には室堂(むろどう)、天狗平(てんぐだいら)、弥陀ヶ原(みだがはら)、五色ヶ原の溶岩台地がある。乗鞍火山群の北の鐘状火山焼岳(やけだけ)(2455メートル)は北アルプスで唯一噴火記録がある。
山稜部は主として古期花崗閃緑(かこうせんりょく)岩や花崗岩類で構成され、朝日岳中心の変成岩類や薬師岳周辺の手取(てどり)統地域を除けば、黒部峡谷を中心にした全流域は新期花崗岩である。これらの岩石を貫いたひん岩や石英斑(はん)岩からなる山々は、槍ヶ岳、穂高岳や後立山の山々のように高く鋭い山容を示す山々が多い。
特別保護地域に指定されている箇所も多く、黒部ダム下流域の黒部峡谷や梓川上流の上高地(かみこうち)は特別名勝・特別天然記念物に指定され、白馬岳を中心にした地域は特別天然記念物「白馬連山高山植物帯」に指定されている。また、薬師岳圏谷群は特別天然記念物、称名滝は国の名勝・天然記念物に指定され、また、ライチョウ、カモシカも国の特別天然記念物である。
観光、登山の中心は上高地、槍・穂高と立山、黒部、白馬岳、乗鞍岳などである。公園地内の山地に最初にバスが通じたのは上高地で、第二次世界大戦後は乗鞍岳、立山室堂へバスが通じるようになり、1971年(昭和46)立山黒部アルペンルートが全通し、立山へも容易に登ることができるようになった。また西穂高岳の山腹へはロープウェーが通じる。
[深井三郎]
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