出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
広くは19世紀の観念論的傾向に対し、同世紀末から20世紀にかけて生まれた実在論の傾向をいい、ドイツのリールやユーベルベーク、イギリスのスコットランド常識学派やケンブリッジ分析学派などを含む。狭くは、イギリスのヒックス、とくに『批判的実在論論集』(1920)を共同研究の成果として刊行した7人のアメリカ哲学者(サンタヤーナ、ラブジョイ、ドレーク、プラット、ロジャース、セラーズ、ストロング)らをいう。
[杖下隆英]
…しかしものの主観にとっての見え方,現れ方から,ものそれ自身の在り方へと接近しなければならぬ。広義の批判的実在論critical realismは,われわれの知覚し経験したもろもろの像に,たとえば尺度をあてがって測定し計測し,同種のものと比較対照して抽象し捨象するなど,素朴なものの像に修正を加えて間主観的にものの実在性に近接しようとする。実在論の目標がものの実在性の認識であるとすれば,実在性の認識には,ものの側での現れ方とこれを受容し知る主観の側での能力,状態,状況,装置等との共同が必要であり,いくたの試行錯誤を経て,ようやく認識された実在性が真理性を帯びるに至るのである。…
※「批判的実在論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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