ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「物理単位」の意味・わかりやすい解説
物理単位
ぶつりたんい
physical unit
と書く。少数個の物理量の単位を与えれば,物理関係式を用いて,これらの単位からほかの物理量の単位を組み立てることができる。たとえば,速度 V で運動する質量 M の物体の運動エネルギー K は定義式 K=(1/2)MV2で与えられる。無次元の数 1/2は定義因数と呼ばれる。各量を数値と単位に分解すれば次の式を得る。
無次元の任意の数因子αを用いて,単位 kを与える単位方程式を k=αmv2とすれば,数値
は数値方程式
で与えられる。特に数因子αが 1ならば,数値方程式は定義式と同形となる。このとき単位 k,m,vは互いにコヒーレントな単位であるという。物理単位を分類すれば基本単位と組立単位があり,論理的に構成されたこれら単位の体系が単位系である。互いにコヒーレントな単位だけから構成された単位系をコヒーレントな単位系という。また,物理単位は定義の基準の原理的な厳密さによって,絶対単位と実用単位とに分類される。絶対単位は厳密に不変とみなせる基準により定義され,厳密な基準の実現が困難なときに実現が容易な標準を設立して定義されたのが実用単位である。標準が国際的に承認された実用単位は,特に国際単位と呼ばれる。単位系がすべて絶対単位から構成されるとき,これを絶対単位系という。
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