医学的には周期性嘔吐(おうと)症、アセトン血性嘔吐症とよばれ、2~10歳ころの小児に多くみられる。この疾患の症状には次のような特徴がある。朝から元気がなく、ごろごろしていて食欲がない。また吐く前に腹痛や頭痛を訴えることがある。そのあと嘔吐が始まり、何回か吐いているうちに食べたものをすべて吐き、続いて胃液や胆汁、ついには茶色のコーヒーかすのようなものを吐く。嘔吐が頻回になると、意識がもうろうとして脱水症状をおこす。尿を調べると、アセトン体が増えているので診断は容易である。
直接の原因は、体内で脂肪が代謝される過程で生ずるアセトン体が異常に増え、それが障害をもたらす代謝障害と考えられているが、なぜ代謝にそのような異常がおこるかは不明である。体質にも関係があるとみられる。また発作をおこす誘因としては、かぜや扁桃(へんとう)炎などの上気道感染、食べすぎ、過労のほか、精神的緊張などのなんらかのストレスである。何回も発作をおこしているうちに、本人も家族もどんなときに発作がおきやすいか見当がついてくる。したがって、その誘因となるものを避けることができれば、予防も可能である。
治療には、嘔吐がひどいときは口から水分補給ができないので、点滴輸液をする必要がある。脱水症状が強いときには入院させたほうがよい。発作が軽い場合あるいは早期発見したときは、ジュースや砂糖水をすこしずつ飲ませたり、鎮吐剤や精神安定剤を服用させたりして吐き気が治まり食欲の回復するのを待ち、流動食から徐々に普通食に戻していく。
[山口規容子]
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