デジタル大辞泉 
                            「認知行動療法」の意味・読み・例文・類語
                     
		
                    にんちこうどう‐りょうほう〔ニンチカウドウレウハフ〕【認知行動療法】 
        
              
     
    
        
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                    認知行動療法 
        
              
                         問題行動の基になる思考を自身で分析し、カウンセリング などで修正、改善していく心理療法。法務省は、性犯罪の再犯防止に向けて導入したプログラム で活用。受刑者らを対象に、性犯罪に及ぶ原因となる思考に気づかせ、同じ行動を繰り返したい衝動が起きたときに対処できるようにする。欧米で再犯防止効果が認められたとして取り入れられた。うつ病や薬物依存症 の治療などにも用いられている。
更新日:2025年4月8日 
                                                           
     
    
        
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                    にんちこうどうりょうほう 
        
              
                        行動科学的原理の応用により,生活の困難につながるふるまいや受け止め方,感情や衝動のコントロールに一貫した変容をもたらすことをめざす臨床心理学的技術の体系。「人のふるまいや受け止め方が環境とのやりとりの中で変容していくメカニズム 」の発動を支援する心理的ツールの集積である。行動変容 技法である行動療法behavior therapyがその起源である。1970年代ごろにはすでに,バンデューラBandura,A.を代表とする彼らによる観察や代理強化を取りあげた学習理論である社会的学習理論social learning theory ,いずれも思考や信念という媒介変数 の修正を中心にすえた心理療法であるベックBeck,A.T.の創始による認知療法cognitive therapyやエリスEllis,A.の創始による論理情動行動療法rational emotive behavioral therapy(REBT)などとの統合が進み,認知行動療法という名称が誕生した。今日では,発展と普及が最も著しい心理療法の代表格とされるが,その背景にはエビデンスベイスドな心理療法evidence based psychotherapyに対する社会的なニーズの高まりがあった。認知行動療法は,いくつかの精神障害に対し「第一選択とされるべき」心理的介入として,精神医療の専門家マニュアル上で推奨されている。アプローチ の別称ということになる。他方,認知行動療法をより広義でとらえた場合,従来の行動療法と,スキナーSkinner,B.F.の業績を基礎にした行動変容の体系である応用行動分析学 applied behavior analysisをベースに,認知的理論や技法をより積極的に取り入れる臨床心理学的アプローチが融合したもの,ということになる。クライエント の反応は,他者からの直接観察が不可能な認知活動である内潜行動covert behavior,あるいは私的事象private eventとして,自発する習慣的な反応として,行動の一つの形態とされる。とりわけ2000年代以降は,行動療法において重要でかつ独自の学問体系をなす行動分析学の応用による応用行動分析学applied behavior analysisの再評価が進んできている点も見逃せない。このほか,境界性パーソナリティ障害など治療上困難の多い障害への対応として評価の高い,密度の濃い支援体制の中で前向きな考え方を引き出す介入であるリネハンLinehan,M.の弁証法的行動療法dialectical behavior therapy(DBT),あるいはヘイズHayes,S.C.の行動や思考の内容でなくそれらのクライエント本人への機能の変容を強調するアクセプタンス ・コミットメント療法(後述)などへの展開もあり,認知行動療法は今もなお,進化と発展の過程にある。心理アセスメント の基礎①:機能分析】 機能分析functional analysisは,認知行動療法における心理アセスメントの支柱の一つである。ここでは,ある状況や刺激のもとで繰り返し自発する行動とその行動が環境にもたらす効果を三項随伴性three-term contingencyでとらえる(図1)。レスポンデント条件づけ で説明される。さらに,引き起こされた不快な感覚や感情や衝動を鎮静させる効果によって強化される(負の強化)過程は,オペラント条件づけ で説明される。この二つの学習過程で記述される回避学習は,多くの不適応行動を説明する(図2)。アクション (儀式的行為)を取ることで回避衝動を鎮静される場合であり,後者は,アクションを行なわない,つまり一定期間の制止的反応によって回避衝動を鎮静させる場合を指す。これと似た衝動低減のモデルは,不安障害のほか,接近的衝動制御の困難を伴う依存的問題行動の説明にも応用可能である。非合理性 として,「自分はすべての人から愛されなければならない(好かれたい,良く思われたい)」,「自分のなすことはすべてうまくいかねばならない(有能でありたい,あらねばならない)」などが基本であるとされる。これらは,個人ごとの認知の歪みを説明するものと仮定され,スキーマschema(中核信念core beliefともいう)とよばれる。セッション とセッションの間にはホームワーク が課される。スケジュール を具体的に手がかり刺激として用意し,活動性を高めるなどの効果をねらう方法である活動スケジュール法activity schedulingなどがある。レパートリー の中にある行動を,特定の場面でより生起しやすくする行動変容と,レパートリーにない,あるいはきわめて生起確率の低い行動を段階的に形成化shapingしていく場合がある。エクスポージャー による行動変容】 エクスポージャー(曝露)exposureとは,衝動を喚起させる刺激にクライエントをさらす手続きのことである。比較的程度の弱い刺激から段階的に進め1回当たりの持続時間も短い(数十秒から数分)場合,段階的エクスポージャーgraded/graduated exposureとよばれる。リラクセーション ,気をそらしやすくする手がかりなど)を導入することがある。持続的・集中的な方法ではそれらは併用されないのが普通である。強迫行為 に認められるような,能動的回避のメカニズムによる不安障害の場合,段階的エクスポージャーが奏功しにくいとされる。そこで,たとえば強迫観念 が誘発される状況を意図的に作り出してクライエントをそこにさらし,その状況で強迫観念が浮かんでも,それを普段のように儀式行為で打ち消すことを抑制したまま,恐怖,不快さ,嫌悪感が低減してくるのを数十分かけて待つという介入が,この障害で最も勧められる手続きである。このような介入は,曝露儀式妨害法exposure and ritual prevention,または曝露反応妨害法exposure and response preventionとよばれる。セルフコントロール を獲得するために,誘惑刺激に意図的にさらしつづけるという介入が取られる場合もある。これは,手がかりエクスポージャーcue exposureとよばれる。ロールプレイ による行動変容】 人のもつ卓越した,模倣modeling(観察学習,代理学習)による行動変容の能力を生かした技法である。フィードバック による修正を反復し,④実際の生活の中で実践的な行動変容へと浸透する般化generalizationを促し効果を確認する,という過程から構成される。行動医学  →行動分析学  →心理療法  
     
    
        
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                    認知行動療法 
        
              
                        認知療法とほぼ同義語で使われ、問題解決を妨げている認知、つまり心の情報処理過程に焦点をあてることで、気分や行動をコントロールする力を育て、問題に適切に対処できるように支援する問題解決志向型の精神療法である。認知行動療法には、1回の面接が45分から50分間の定型的認知行動療法(高強度認知行動療法ともよぶ)のほかに、集団認知行動療法やインターネットを活用して15分から30分の短時間で行う簡易型(低強度)認知行動療法がある。
 定型的認知行動療法は、日本では2010年(平成22)4月にうつ病の治療法として診療報酬の対象になり、その後、不安症、強迫症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、神経性過食症の治療法としても診療報酬の対象となっている。このほか、慢性痛や耳鳴り、めまいなどをはじめとする身体疾患に伴う精神的苦痛を緩和する目的でも行われるようになっている。
 また、認知行動療法の考え方に基づくアプローチは、日常生活でのストレスへの対処や心の健康保持増進のためにも活用されている。こうしたアプローチは、医学的な治療法である認知行動療法と区別して、認知行動変容アプローチとよばれることもある。
 認知行動療法では、気持ちが動揺したときに頭に浮かんでいる考えに焦点をあてる。こうした考えは、ほとんど意識しないまま自動的に頭に浮かび消えていくことから、自動思考とよばれる。認知行動療法では、抑うつ感情(落ち込みや悲しみなど)の背景には喪失、不安感情には危険、怒り感情には不当な扱いを受けているという判断が存在しており、そうした思考が極端になってくると適切な行動がとれなくなって、心理的な苦痛を感じるようになると想定する。そのため、認知行動療法の面接では、情報を集めて現実的な思考ができるように手助けして、適切に問題に対処できる力を伸ばしていく。
 治療としての認知行動療法は、まず「概念化」ないしは「定式化」とよばれる作業から始める。それは、患者の性格や気質、生い立ち、子どものころから続いている考え方の特徴(スキーマ)、発症のきっかけや症状の継続に影響している要因など、患者の心理的課題や強みやレジリエンスを明らかにする作業で、こうした理解を患者と共有したうえで治療面接が進められる。
 治療の過程で使われる代表的な技法としては認知再構成法がある。これは、気持ちが動揺したときの自動思考を具体的に特定し、その思考に関連した情報を収集していく。それによって、患者は問題解決の助けになるような現実的な思考が可能になり、ストレスが軽減し、症状が改善してくる。
 このほかにも、日常の生活のなかで楽しいことや、やりがいのあることを増やしていく「行動活性化」、具体的な問題を解決するスキルを伸ばしていく「問題解決技法」、自分の気持ちや考えを適切な形で相手に伝える「アサーションassertion」、不安を感じる場面に足を踏み入れて危険の程度や自分の対処能力、周囲からの支援を確認しながら考えを修正し不安を軽減していく「暴露反応妨害法」など、さまざまな技法があり、こうした技法を駆使して治療を進めていく。
[大野 裕 2022年3月23日]
                                                           
     
    
        
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                            「認知行動療法」の意味・わかりやすい解説
                     
		
    
        
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