ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
行動療法
こうどうりょうほう
behavior therapy
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心理療法の一つ。1960年に出版されたH・J・アイゼンク編『行動療法と神経症』によって行動療法の名称が広まった。精神分析のように、神経症の原因に無意識を想定し、そこに潜むコンプレックスの解除によって治療が成り立つという考え方とはまったく異なった療法である。行動療法は行動理論と学習理論に立脚してなされるが、治療の目標は、まず行動の変容である。意識や無意識に働きかけるのではなく、異常行動そのものを治療の対象とする。たとえば、乗り物恐怖症の治療の場合、無意識的な死の願望というようなコンプレックスを想定し、患者にそれを理解させるといったような手続ではなく、乗り物に乗れないという行動そのものを問題とし、実際乗れるように指導していくという手続がとられる。ただし、このような行動そのものの実現のために、イメージなどの意識過程を操作するという手続を利用することもある。
行動療法では、異常行動は素質ではなく後天的に学習されたものであると考える。したがって、学習の原理によって、適切に学習し直すのが治療である。主として条件づけの考え方にたって、さまざまな治療法がくふうされている。
その代表的なものが系統的脱感作法で、主として恐怖や不安を解消するためにくふうされた方法である。たとえば急行電車に乗れないという恐怖症に対して、まず電車に乗ることにかかわる事項についての恐ろしさの程度を調べ、それを恐ろしさの順に並べる。一方で、患者に筋肉弛緩(しかん)を主とした弛緩法を訓練して、弛緩している状態にさせ、そこで一番不安のない刺激をイメージしてもらう。そして、その刺激をイメージしても十分弛緩していられる状態になったら、順序に従って次の刺激に移り、同じ手続を繰り返し、電車に乗る場面まで移行していき、そのイメージを描いても十分弛緩していられるようにしていく方法である。それとは逆の技法がフラッディング法で、患者を最初からもっとも恐ろしい、あるいは好まない刺激にさらして、逃避できない状態におき、これを繰り返す。条件性制止療法は、チック症などに適用される療法で、一定時間積極的に目をパチパチさせ、その後、一定時間休憩させる。このセットを繰り返し訓練する。嫌悪療法は、不適切な行動が生じたときに、不快な刺激を与える方法であり、不快な刺激として電気ショックや化学的物質を投与することもある。オペラント条件づけ法は、嫌悪療法とは逆に、好ましい行動を促進する方法で、原理的には、好ましい行動が生じたならば、ほめたり、ほしいものを与えたり、したいことをさせたりする療法である。以上がよく知られた方法であるが、そのほかに、自分で自分の行動をコントロールするセルフコントロール法や、行動だけでなくイメージを用いる認知的行動療法という意識も取り入れた療法が開発されている。
[春木 豊]
『坂野雄二著『認知行動療法』(1995・日本評論社)』▽『宮下照子・免田賢著『新行動療法入門』(2007・ナカニシヤ出版)』
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
…行動変容(または行動修正)と行動療法とは同義的または互換的に使用され,いまだ明確な統一見解はない。そのいずれの用語をとるかは,行動療法の基礎理論としてレスポンデント条件づけ法を重視するかオペラント条件づけ法(条件づけ)を重視するか,変容の対象行動が神経症以上の不適応行動か一般的人間行動か,臨床心理学的実践を先発の医学との関係でどうとらえるか,あるいは基礎理論が学習理論だけかそれに限らず実験心理学から広義の行動科学のものまで広げるかなどの違いによることが多く,しかもそれらが錯綜して無自覚的に使用されている。…
…第3には,それによって新しい適応した行動を身につけること(自己実現,行動変容)である。一般に,危機や新しい不安に対しては,受容的態度で患者の自己表現をはかり,洞察をまつが,慢性化した行動や態度の異常に対しては学習や訓練の側面が中心となる(行動療法,森田療法)。治療者との人間関係に重点をおくもの(精神分析,カウンセリング)から特殊な状況のなかでの変容を期待するもの(森田療法,内観療法)等,また,理論や利用する手段に従ってさまざまな分類がある。…
※「行動療法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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