障害者の自立および社会参加等を支援するための施策を定めた法律。昭和45年法律第84号。
障害者福祉に関する施策は1949年(昭和24)の身体障害者福祉法と1960年の知的障害者福祉法(旧精神薄弱者福祉法)によって個々に行われてきたが、障害が多様化することに対応するため、この二つの法律の上位法として1970年に心身障害者対策基本法が制定された。この法律は、心身障害者対策に関する国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、心身障害の発生の予防に関する施策および医療、訓練、保護、教育、雇用の促進、年金の支給等の心身障害者の福祉に関する施策の基本となる事項を定め、もって心身障害者対策の総合的推進を図ることを目的としたものである。またこの法律では、心身障害者とは、肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、平衝機能障害、音声機能障害もしくは言語機能障害、心臓機能障害、呼吸器機能障害等の固定的臓器機能障害または精神薄弱等の精神的欠陥があるため、長期にわたり日常生活または社会生活に相当な制限を受ける者をいう、と定義した。
この心身障害者対策基本法を改正して障害者基本法が制定され、1993年(平成5)12月に公布となった。特徴は、(1)法の名称が心身障害者から障害者に変わったこと、(2)従来からの対象だった身体障害者(内部障害者を含む)と知的障害者に精神障害者が加えられたこと、(3)法の基本理念と目的が、「障害者があらゆる分野の活動に参加する機会を与えられる」ものとし、「障害者の自立と社会経済活動への参加の促進」と位置づけられたこと、(4)国に「障害者基本計画」の策定を義務づけ、毎年その進行や成果を国会に報告することとしたこと、(5)12月9日を「障害者の日」としたこと、などである。
[吉川武彦]
(中谷茂一 聖学院大学助教授 / 2007年)
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