三好徹(読み)ミヨシトオル

デジタル大辞泉 「三好徹」の意味・読み・例文・類語

みよし‐とおる〔‐とほる〕【三好徹】

[1931~2021]小説家東京の生まれ。本名、河上雄三。新聞記者を経て、社会派推理小説やスパイ小説、時代小説などを精力的に執筆。「聖少女」で直木賞受賞。他に「風塵地帯」「チェ・ゲバラ伝」「天使」シリーズなど。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三好徹」の意味・わかりやすい解説

三好徹
みよしとおる
(1931―2021)

小説家。東京生まれ。本名河上雄三。旧制横浜高商(現、横浜国立大学)卒業後、読売新聞社入社。『遠い声』が1959年度(昭和34)上半期の文学界新人賞次席となる。以後、いわゆる社会派推理小説、スパイ小説、時代小説の分野で旺盛(おうせい)な筆力を発揮。『風塵(ふうじん)地帯』(1966)で日本推理作家協会賞翌年、無軌道な少年少女群像を描く『聖少女』(1967)により第58回直木賞を各受賞。以後、歴史小説を手がけるようになり、革命家ゲバラ、沖田総司(そうじ)、坂本龍馬(りょうま)、黒岩涙香(くろいわるいこう)、星亨(ほしとおる)らを主人公とする多彩な執筆活動を展開した。主要な作品に、『チェ・ゲバラ伝』(1971)、『私説・沖田総司』(1972)、『小説沖田総司――六月は真紅薔薇(ばら)』(1975)、黒岩涙香を扱った『まむしの周六――万朝報物語』(1977)、『誰が竜馬を殺したか』(1996)などがある。さらに、『近代ジャーナリスト物語――天馬の如(ごと)く』上下(1982)、『日本宰相伝』3冊(1992~1998)、『政商伝』(1993)などの人物列伝のシリーズを手がけた。これら歴史をテーマにしたものには、『興亡と夢――戦火の昭和史』5冊(1986)、『興亡三国志』5冊(1997)、『明治に名参謀ありて――近代国家「日本」を建国した6人』(1999)、『妖婦の伝説』(2000)などもある。

[伊藤和也・磯貝勝太郎]

『『興亡と夢――戦火の昭和史』5冊(1986・集英社)』『『興亡三国志』5冊(1997・集英社)』『『明治に名参謀ありて――近代国家「日本」を建国した6人』(1999・小学館)』『『妖婦の伝説』(2000・実業之日本社)』『『チェ・ゲバラ伝』新装版(2001・原書房)』『『聖少女』(文春文庫)』『『風塵地帯』『私説・沖田総司』『まむしの周六――万朝報物語』『近代ジャーナリスト列伝――天馬の如く』上下(中公文庫)』『『小説沖田総司――六月は真紅の薔薇』上下『政商伝』(講談社文庫)』『『日本宰相伝』3冊(徳間文庫)』『『誰が竜馬を殺したか』(光文社文庫)』『チェ・ゲバラ著、三好徹訳『チェ・ゲバラの声――革命戦争の日々・ボリビア日記 詳注版』(2002・原書房)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「三好徹」の解説

三好徹 みよし-とおる

1931- 昭和後期-平成時代の小説家。
昭和6年1月7日生まれ。読売新聞社にはいり10年間記者をつとめる。昭和42年「風塵地帯」で日本推理作家協会賞,43年「聖少女」で直木賞。社会派推理小説,スパイ小説,歴史小説,ノンフィクションと幅ひろく手がける。東京出身。横浜高商(現横浜国大)卒。本名は河上雄三。作品はほかに「チェ・ゲバラ伝」「興亡三国志」など。

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