中原に鹿を逐う(読み)チュウゲンニシカヲオウ

デジタル大辞泉 「中原に鹿を逐う」の意味・読み・例文・類語

中原ちゅうげん鹿しか

魏徴の「述懐」から。中原天下、鹿は帝王のたとえ》帝王の位や政権を得ようとして争う。また、ある地位目的物を得ようとして競争する。鹿を逐う。逐鹿ちくろく

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精選版 日本国語大辞典 「中原に鹿を逐う」の意味・読み・例文・類語

ちゅうげん【中原】=に[=の]鹿(しか)を逐(お)

(「中原」は中国、特に黄河流域の平原地帯をさし、「鹿」は「史記‐淮陰侯伝」に「秦失其鹿、天下共逐之」とあることから、天子の位のこと) 帝王の位を得ようと戦う。転じて、ある地位や目的物などを得るために競争する。〔社交用語の字引(1925)〕 〔魏徴‐述懐詩〕

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故事成語を知る辞典 「中原に鹿を逐う」の解説

中原に鹿を逐う

帝王の位を得ようとして戦うことのたとえ。転じて、重要なものを得るために競争することのたとえ。

[使用例] もし将来の天下におなじ野心を抱く者なら、〈略〉この自分を目すに、いつか、中原の鹿を追う好敵手! としているのではあるまいか[吉川英治*私本太平記|1958~62]

[由来] 六~七世紀の中国の政治家、ちょうの詩、「述懐」の冒頭、「中原、た鹿を逐う(戦乱の世が再び訪れ、中央に広がる平野では、群雄が帝王の座を争い始めた)」から。「鹿」は、帝王の座のたとえとして、よく用いられます。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中原に鹿を逐う」の意味・わかりやすい解説

中原に鹿を逐う
ちゅうげんにしかをおう

古代中国で、王権争奪をいい、単に逐鹿(ちくろく)ともいう。中原は漢民族の生活領域で、古くは黄河の中・下流地域、現在の河南省を中心とし、山東省西部、陝西(せんせい)省東部にわたる地域をいい、ほぼ周王朝の勢力範囲であったが、のち揚子江(ようすこう)流域の一帯にも広がったため、中原の語は河南省を中心とする華北平原をさすようになった。中原の鹿は周の王権を象徴するものであり、中原の覇者は天下に君臨できたところから、ここを舞台として古代中国の群雄が覇を競ったのである。

[田所義行]

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