固原(読み)こげん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「固原」の意味・わかりやすい解説

固原
こげん / クーユワン

中国寧夏(ねいか)回族自治区南部の地級市。1市轄区、4県を管轄する(2016年時点)。人口153万3000(2014)。黄河(こうが)の支流である清水河(せいすいが)の上流、六盤(ろくばん)山脈の東麓の黄土(こうど)高原地帯にあり、畑作牧畜を主とする。渭河(いが)と清水河の分水嶺(ぶんすいれい)地帯にあたり、陝西(せんせい)と寧夏を結ぶ交通路上の要衝である。市街近郊には2010年開港の固原六盤山空港がある。経済発展は他地域より遅れており、1982年中央政府から経済援助と開発促進を行う「扶貧」の重点地域に指定された。

 早く漢代に高平(こうへい)県が設けられたが、しばしば北方異民族の領有するところとなり、漢民族にとっては辺境防備の重要な基地であった。とくに明(みん)代には九辺鎮の一つとして固原州が設けられ、軍鎮があった。市の北西にある須弥山(しゅみさん)には北朝に始まる石窟(せっくつ)があり、多くの石造仏像がある。

[秋山元秀・編集部 2017年5月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「固原」の意味・わかりやすい解説

固原 (こげん)
Gù yuán

中国,寧夏回族自治区南部,清水河上流の県。人口46万(1994)。銀川平野から清水河を経て渭河平野の西安への交通要地として古くから開け,漢代,すでに高平県がおかれた。その後,遊牧民族支配をうけたこともあるが,明・清代には中原地方の防衛拠点として重要視された。現在は自治区南部の経済・交通中心で,食品工業水力発電所がある。
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