当物・中物・宛物(読み)あてもの

精選版 日本国語大辞典 「当物・中物・宛物」の意味・読み・例文・類語

あて‐もの【当物・中物・宛物】

〘名〙
[一]
① 当てること。また、当てる対象となる物。
※ぎやどぺかどる(1599)上「初めは彼等に憐みの御眼を懸給ふといへども、今は御罰のあて物となし給ふ儀也」
② 隠してある物、なぞなどを考えて言い当てること。当て事。
浅草(1931)〈サトウ・ハチロー〉金網模様の青空「看守さん、あてものですよ、わかりませんか、これわからないと駄目ですね」
駄菓子屋などで、くじを引かせ、当たると代金以上の菓子や玩具などを与えるもの。
※銀の匙(1913‐15)〈中勘助〉前「水飴(あめ)のほかにあてものや駄菓子など」
今昔(1120頃か)二五「此の様の当物などは、今は箭(や)の落る所も思え不候」
⑤ 近世末期にみられた門付(かどづけ)一種。願人坊などが「出ました当て物」と市中を呼び歩き、商店の門口に立ってなぞを自問自答して、金銭をもらい歩くもの。
⑥ 馬の気持を動揺させたり、驚かしたりするもの。あて。
[二] 物をあてがうこと。また、その物。
① 物の形を整えたり、中身を保護するためにあてがう物。
※旧聞日本橋(1935)〈長谷川時雨〉流れた唾き「その時分モダンは、〈略〉肩に当ものをしたり、お乳にもあてものをして」
能面をかぶる時、左右の頬に張り付けて、面が顔にじかに当たるのを防ぐ枕状のもの。
芝居の舞台の左右にある大臣柱外側の張り物。関西で道具方が用いる語。かこい。
④ 酒、しょうゆなどの醸造の時、廃水を出す際に中の白米大豆などが流れ出ないように桶の内側に沿ってあてがう物。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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