快楽亭ブラック(1世)(読み)かいらくていブラック[いっせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「快楽亭ブラック(1世)」の意味・わかりやすい解説

快楽亭ブラック(1世)
かいらくていブラック[いっせい]

[生]1858.12.22. オーストラリアアデレード
[没]1923.9.19. 東京
オーストラリア生まれの落語家,探偵小説家。本名 Henry James Black。イギリス国籍,のち日本に帰化。1860年頃,父ジョン・レディ・ブラックが訪日。数年後,ヘンリーも訪日する。父は『日新真事誌』という日本語の新聞を発行していたが,政府の圧力廃刊となり中国の上海へ移る。ヘンリーは日本に残り,1876年西洋手品師となる。その後アメリカ合衆国のシアトルへ渡るが,1878年再び訪日,演説会などに出演する。講談の 2世松林伯円の知遇を得,横浜の寄席に出演し『チャールズ1世伝』『ジャンヌ・ダルク伝』などを読み本格的に芸人となる。その後,英語教師や探偵小説の作家などを経て,1891年三遊派に入り,快楽亭ブラックを名のる。イギリスの人情噺を語り,「べらんめえ」の外国人として人気を博す。1903年,イギリスの会社グラモフォン&タイプライターが日本で円盤式レコードを録音した際,邦楽演奏家,落語家らを多数斡旋,4世橘家円喬,3世柳家小さんらの肉声を残したのはブラックの功績である。三遊派の真打ちとして活躍,探偵小説家としても作品を残しているが,晩年は不遇で地方巡りなどをしていたという。(→落語

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