沂水(読み)ぎすい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「沂水」の意味・わかりやすい解説

沂水
ぎすい / イーショイ

中国、山東(さんとう)省南東部、臨沂(りんぎ)市北東部の県。人口114万4500(2014)。沂河(ぎが)の上流部、山間河谷盆地にあり、濰坊(いぼう)、莱蕪(らいぶ)、臨沂方面などへの自動車道が縦横に走るほか、膠新(こうしん)線(膠州―新沂(しんぎ))、晋中南鉄道(呂梁(りょりょう)―日照(にっしょう))が通じる。黄河(こうが)流域ワタ作地帯の主産地であり、また、柞蚕(さくさん)による繭(まゆ)は特産である。沂河上流は急流氾濫(はんらん)しやすく、下流に土砂をもたらすため調整工事が行われた。北部の沂山は黄帝(こうてい)が封禅(ほうぜん)(天子が行う天地の祭り)を行ったといわれ、東泰山として五岳の泰山と並んで名山に数えられている。

[駒井正一・編集部 2017年1月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「沂水」の意味・わかりやすい解説

沂水 (ぎすい)
Yí shuǐ

中国,山東省南東部の県。人口116万(2000)。臨沂地区に属す。東泰山とも呼ばれる古来の名山,沂山(1032m)の南麓,沂河の上流にある。農業は畑作を主とし,とくにラッカセイの生産が盛ん。春秋時代には斉と魯の境界地帯にあたり,県北の穆陵関(ぼくりようかん)には斉の長城遺跡が残る。漢代,東莞県が置かれ,唐代沂水県と改名された。1940年,南部が沂南県として独立したが,その北寨村にあった〈将軍冢〉より54年,後漢末の墓が発掘され,多くの画像石(沂南画像石墓)が発見された。沂河は南流して臨沂を経て江蘇省北部で大運河,路馬湖へ注ぐ。以前はさらに南東へ曲流してから黄海に注いでいたが,解放後,路馬湖より直接黄海へ至る水路が開かれ,新沂河という。
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