現川焼(読み)うつつがわやき

精選版 日本国語大辞典 「現川焼」の意味・読み・例文・類語

うつつがわ‐やき うつつがは‥【現川焼】

〘名〙 肥前国矢上村(長崎市現川)に産した古陶。朝鮮李朝陶の技法を承けて褐色土刷毛目の釉(うわぐすり)を応用したもの。技巧は精緻であり京焼の優雅な作調に近い。江戸時代、慶長初期、帰化した朝鮮人が窯(かま)を開き、宝永頃まで焼かれていたという。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「現川焼」の意味・わかりやすい解説

現川焼
うつつがわやき

肥前彼杵郡矢上村字現川野 (長崎市現川) で焼かれた陶器。村名から矢上焼とも呼ばれる。元禄年間 (1688~1704) に田中刑部左衛門 (宗悦) が開窯したといわれ,寛保年間 (41~44) に廃窯。刷毛目を用い,呉須鉄砂,白土で一筆の絵付けを施すのが特色。 1895~1903年に馬場藤太夫,1897年頃に檀野勝次が再興したが長く続かなかった。現川焼は京焼風の瀟洒作風で高い評価がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「現川焼」の意味・わかりやすい解説

現川焼
うつつがわやき

長崎県の陶芸。窯は長崎市現川町(旧諫早(いさはや)藩現川村)に現存する。開窯は江戸時代中期の1691年(元禄4)で、隣接する長与(ながよ)焼が一時休止したその時期に陶土を購入して始まったものらしい。陶技は唐津(からつ)焼を受け止めており、洗練された技術で白化粧、染付、鉄絵を併用した瀟洒(しょうしゃ)な絵付の器皿を焼き、その趣向は京趣味に通ずるものがある。窯業の詳しい実状は明らかではないが、1749年(寛延2)には廃絶した。

[矢部良明]

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デジタル大辞泉プラス 「現川焼」の解説

現川焼

長崎県長崎市(旧・現川村)で生産される焼物元禄時代の創始と伝わる。明治以降製造が途絶えていたが、昭和時代に再興された。

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