呉須(読み)ごす

日本大百科全書(ニッポニカ)「呉須」の解説

呉須
ごす

呉洲とも書く。陶磁器に用いる絵付顔料一種酸化コバルト主成分とし、若干の夾雑(きょうざつ)物を含む鉱物で、通常は黒灰色を呈している。透明釉(ゆう)裏にこの呉須を使って文様を描き、強力な還元炎で焼成すると、コバルトブルーに呈色する染付の呈発を得る。中国では回青、土青、石青、無名異、蘇麻離青(そまりせい)、画焼青、黒赭石(こくしゃせき)、内頂子などと称し、日本では岩紺青(いわこんじょう)、茶碗薬(ちゃわんぐすり)ともいう。コバルトは古くは8世紀の三彩に色釉の呈色剤として登場するが、9世紀にはイスラムで染付が創始され、中国でも同じころ染付がくふうされている。日本では16世紀に美濃焼(みのやき)でコバルト呈色の染付が行われたが、盛行するのは17世紀になって伊万里焼が中国製の呉須を入手して染付を焼造してからである。

[矢部良明]

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百科事典マイペディア「呉須」の解説

呉須【ごす】

染付に用いる酸化コバルト。日本では中国産の天然呉須を使用したが,現在ではコバルト,マンガンなどの化合物を含んだ合成品が使われる。不純物が多く含まれているため黒みがちの不安定な発色となるが,かえってその趣を呉須手と称して賞美する。またコバルト純度が低いため黒ずんだ青色を呈する明末清初の染付磁器をも呉須と呼ぶ。
→関連項目香合

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精選版 日本国語大辞典「呉須」の解説

ご‐す【呉須】

〘名〙
① 陶磁器の下絵顔料にする、コバルト化合物を含んだ鉱物。青緑色を帯びるものとくすんだ褐色のものとがあり、焼き上がると藍色となる。呉須土。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
俳諧・続深川集(1791)「黒紅の小袖は襟のあかばりて〈馬莧〉 ごすの茶碗を売に出さるる〈芭蕉〉」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「呉須」の解説

呉須
ごす

焼物染付に用いる,コバルト化合物を含む鉱物の名。また呉須焼略称。名称の由来は不明。原石は黒ずんだ青緑色。粉末にし,水に溶いて磁器に文様を描き,上に釉 (うわぐすり) をかけて焼くと藍色に発色する。近年は人造呉須も用いる。陶磁器顔料のなかで最も多く使用される。

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デジタル大辞泉「呉須」の解説

ご‐す【呉須】

磁器の染め付けに用いる鉱物質の顔料。酸化コバルトを主成分として鉄・マンガンニッケルなどを含み、還元炎により藍青色ないし紫青色に発色する。天然に産した中国の地方名から生まれた日本名で、現在では合成呉須が広く用いられる。
呉須手ごすで」の略。

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世界大百科事典 第2版「呉須」の解説

ごす【呉須】

陶磁器に用いる顔料の一種。焼成により釉(うわぐすり)と溶けて青い色を出す。呉須で下絵を書き釉をかけた磁器を,日本では染付,中国では青花とよぶ。天然には黒色,土状の呉須土(鉱物名アスボライトasbolite)として産出する。呉須土の主成分は酸化コバルトで,鉄,マンガンなどの酸化物が不純物として含まれ,これらが多いと釉の色が青紫色から,くすんだ色になる。日本では愛知県瀬戸地方に少量産出したが,中国から多く輸入したので唐(とう)呉須とよばれた。

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