緑林(読み)リョクリン

デジタル大辞泉 「緑林」の意味・読み・例文・類語

りょく‐りん【緑林】

青々とした林。
前漢末期王莽おうもう即位後、王匡おうきょう王鳳おうほうらが窮民を集め、湖北省の緑林山にこもって盗賊となり、征討軍に反抗したという、「漢書王莽伝下にある故事から》盗賊のたてこもる地。また、盗賊。

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精選版 日本国語大辞典 「緑林」の意味・読み・例文・類語

りょく‐りん【緑林】

〘名〙
① 青々とした林。みどりの林。
三国伝記(1407‐46頃か)三「時に戴淵は岸の上の緑林の本に立て下知しけり」 〔嵆康‐贈秀才入軍詩〕
② (もと中国の湖北省当陽県の山の名。「漢書‐王莽伝下」「後漢書‐劉玄伝」に、前漢の末、王莽(おうもう)の時、王匡(おうきょう)・王鳳(おうほう)等が窮民をひきいてこの山にたてこもり、征討軍に抗して強盗をはたらいたとあるところから) 盗賊のたてこもる地。また、盗賊。
本朝文粋(1060頃)四・貞信公辞摂政淮三宮等表〈大江朝綱〉「隴頭秋水、白波之音間聞、辺城暁雲、緑林之陳不定」 〔李渉‐井欄砂宿遇夜客詩〕

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改訂新版 世界大百科事典 「緑林」の意味・わかりやすい解説

緑林 (りょくりん)
lù lín

中国,王莽(おうもう)の新王朝(8-23)末の反乱集団。王莽の失政飢饉で各地に民衆蜂起,湖北では反徒が緑林山(湖北省当陽県)に集結して大軍勢となった。やがて劉秀らを推戴する南陽河南省)の豪族集団と合流,緑林の推す劉玄を更始帝に立てて漢王朝復興をめざし,王莽死後の長安を占拠した。だが政治が乱れて部将が離反し,劉秀も河北光武帝として即位,ついで更始帝は赤眉に敗れて殺された(25)。反徒が緑林山に拠った故事から後世群盗を緑林とよぶ。
赤眉の乱
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普及版 字通 「緑林」の読み・字形・画数・意味

【緑林】りよくりん

緑樹の林。また、緑林山の盗。盗賊。〔漢書、王伝下〕是の時、南郡の張、江夏の羊牧・王匡等、雲杜の林に(た)ち、號して下江兵と曰ふ。衆皆餘人なり。

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