長田野(読み)おさだの

日本歴史地名大系 「長田野」の解説

長田野
おさだの

福知山盆地の中央やや西寄り、由良川土師はぜ川の合流点の東南方にあり、東西三―四キロ、南北二―三キロ、平均高度約七〇メートルの洪積層の段丘台地である。東方はたか(四一六・一メートル)の山麓で限られ、その北方石原いさから西方土師にかけては約三キロにわたる直線の断崖で、その北方を西流する由良川河岸の沖積地との間に高度二〇―三〇メートルの中段段丘が形成され、その下は広い河岸沖積期段丘である。南側は土師川の斜面で、東・中・西部に浸食谷が発達して、北側のように直線の境ではないが、長田と多保市とおのいちに幅広い中段段丘があり、その下は土師川の河岸沖積期段丘である。

長田野は全面が一つの平坦地ではなく、東北部に旗竿はたざお(一四三・一メートル)不動ふどう(約一〇〇メートル)がある。そのほか周囲に向かって幼年期の谷が六つほどある。台地の下部は粘土層と砂礫層の互層であるが、西方天田郡と兵庫県朝来あさご郡との境にある田倉たくら(宝山)火山が噴出した火山灰が堆積したという黒土(くろぶくという)が表面を覆い、強酸性でやせている。

長田野
ながたの

鎌倉時代にみえる地名。弘安八年(一二八五)の但馬国太田文養父郡の項に「長田野国領畠 十町」と記され、「地頭肥塚三郎後家」の注記がある。比定地は明確ではなく、その後の史料にも登場しないが、古代養父郡長田郷(和名抄)の郷名を継承すると思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「長田野」の意味・わかりやすい解説

長田野
おさだの

京都府北西部,福知山盆地の南西部にある台地。福知山市に属する。由良川がつくった河岸段丘で,広大な原野をなし,かつては陸軍の演習場であった。 1970年から 74年にかけて 342haの大規模工業団地が京都府によって造成され,金属機械電機などの工場立地

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世界大百科事典(旧版)内の長田野の言及

【福知山[市]】より

…由良川沿いには桑園が広がり,かつては養蚕業をもとに製糸業が盛んであった。市域南東部の長田野(おさだの)は,明治30年代に軍隊の演習場とされ,以後も軍事利用されてきたが,昭和40年代から工業団地が造成され,金属,機械,電機などの工場が立地する。広小路の御霊(ごりよう)公園内には,宇賀御霊神に明智光秀を配祀した御霊神社がある。…

【福知山盆地】より

…東部は綾部市,西部は福知山市に属する。丹波高地と丹後山地の間,由良川流域の東西に長い構造性の盆地で,周辺には標高450m前後の山地や長田野(おさだの),以久田野などの洪積台地が発達し,河岸段丘が形成される。盆地東端から流入した由良川は,西流して南東からの土師(はぜ)川,南西からの和久川,西からの牧川などを合わせ,北に向きを変えて流れ出る。…

※「長田野」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」