翻訳|liver fluke
扁形(へんけい)動物門吸虫綱二生(にせい)亜綱肝蛭科に属する寄生虫。ほとんど全世界に分布する。ウシ、ヒツジ、ヤギなどの反芻(はんすう)動物の胆管に寄生するが、ブタ、ウマ、ヒトに寄生することもある。虫体は木の葉形で扁平、長さ2~5センチメートル、幅0.5~1.3センチメートル、腸管、精巣、卵巣、卵黄腺(せん)は樹枝状に分岐している。
卵は糞便(ふんべん)とともに外界に排出され、水中でミラシジウムとよばれる幼虫が孵化(ふか)して、中間宿主のヒメモノアラガイに侵入する。この貝の体内でスポロシスト、レジア、セルカリアと発育するが、この間にいわゆる幼生生殖を行い、1個のミラシジウムから100~500個のセルカリアができる。セルカリアは貝から遊出し、水草などに付着して袋に包まれメタセルカリアとなる。このようなメタセルカリアが固有宿主のウシなどに食べられると、メタセルカリアは宿主の小腸内で袋から出、腸壁を通って腹腔(ふくこう)に入り、肝表面から胆管に到達して成虫となる。成虫は大形なので、多数寄生すれば周囲の宿主組織に傷害を与え、有毒分泌物により、肝臓障害、下痢、貧血などをおこして衰弱死することもあり、ウシ、ヒツジ、ヤギなどの家畜にとっては重要な寄生虫病である。
[町田昌昭]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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