Ⅰa型超新星(読み)いちえーがたちょうしんせい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「Ⅰa型超新星」の意味・わかりやすい解説

Ⅰa型超新星
いちえーがたちょうしんせい

質量の大きな恒星の進化の最後を示す超新星一種。超新星のうち、もっとも明るくなったときのスペクトル水素の輝線が見えないものをⅠ型といい、さらにそのなかでケイ素の輝線のあるものをⅠa型とよんでいる。Ⅰa型超新星は超新星のなかでも際だって明るく、かつ最大光度がほぼ一定であることが確かめられている。この性質により宇宙での距離測定の標準光源として利用され、その結果、宇宙が加速膨張していることが明らかになった。Ⅰa型超新星は白色矮星(わいせい)ともう一つの恒星との連星系であると考えられている。その白色矮星にもう一つの恒星からガスが降り積もることによりチャンドラセカール限界質量(白色矮星が構成物質の電子の縮退圧と、星自身の重力とつり合ってつぶれない限界の質量)まで質量が増加して、最後には白色矮星が自身の重力による収縮に耐えきれなくなる。そのとき白色矮星の中心核にある炭素核融合暴走を引き起こし、白色矮星全体を吹き飛ばす大爆発を起こすと考えられている。また、白色矮星どうしの連星系でも、同様の爆発が生じることも考えられている。この爆発時のチャンドラセカール限界質量(太陽の1.44倍)のため、ほぼ一定の最大光度であると思われている。

[編集部 2023年2月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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