あかぎれ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「あかぎれ」の意味・わかりやすい解説

あかぎれ

亀裂(きれつ)性湿疹(しっしん)の俗称。ひび落屑(らくせつ)性湿疹)の悪化した皮膚病で、ひびと同様に幼小児と主婦に好発し、小児では手足と顔面、主婦では手にみられる。また、小児では寒冷や寒風、主婦では水仕事、とくに洗剤せっけんの使用がそれぞれおもな原因となる。まず皮膚が乾燥して、表皮角質層の最表面がはがれてかさかさしてくる。この病状がひびとよばれる段階で、さらに病状が進むと、皮膚が厚く硬くなり、線状の皮溝が目だち、やがて皮膚の弾力性が低下して亀裂を生じ、あかぎれとよばれる症状となる。普通、軽いかゆみを訴えるが、亀裂が深いと痛みがおこり、出血することもある。せっけんや洗剤の使用による主婦のあかぎれは、主婦湿疹としても知られる。治療にはワセリン尿素軟膏(なんこう)、ヘパリン様物質含有軟膏、ステロイド軟膏、あるいは5~10%サリチル酸含有軟膏を塗布する。主婦の場合、水仕事をしばらくしないで治療するのが望ましいが、それができない場合は、木綿手袋をはめた上にゴムまたはビニール手袋を用い、せっけんや洗剤が直接皮膚に触れないようにする。

[伊崎正勝・伊崎誠一]

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改訂新版 世界大百科事典 「あかぎれ」の意味・わかりやすい解説

あかぎれ
chaps

手のひら,足の裏,手足の指の皮膚に亀裂fissureを生じた状態のうち,その裂け目が深くて赤く見え,ときには出血し,ふつう痛みがあるもの。亀裂が細くて浅いものはひびといわれる。皮膚の働きの一つとして,機械的,物理的,化学的に有害な刺激を防ぎ,水分,有毒物質,細菌,真菌などの侵入を阻止し,また体液が失われるのを防ぐ対外保護作用がある。寒さによる脂腺汗腺の機能低下,手足の不潔,洗剤の使い過ぎ,職業上の薬品の刺激などが原因となって,皮膚最上層の角層の水分が減少し,皮膚が乾燥するとなりやすい。あかぎれの状態が進んで,胝(べんち)状亀裂性湿疹という状態になると,かゆみも加わってくる。予防法としては,皮膚を清潔に保ち,保温に努めることが必要であり,洗剤や薬品などの刺激による場合は,それらの接触に注意しなければならない。治療法としては,抗生物質やビタミンAを含む軟膏をはって,絆創膏でとめたり,ピック膏などを使用する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「あかぎれ」の意味・わかりやすい解説

あかぎれ
fissured skin

皮膚の表層角質の水分が減少して起る線状の割れ目をいう。表皮の深層から真皮に達することもある。皮脂や汗の分泌が悪くなる冬期に発生することが多いが,できやすい体質的なものがある。ひびはおもに,頬や手の甲などの乾燥した皮膚がむけてくる状態をいうが,あかぎれは踵や手のひら,爪の周囲など,角質の厚い部分が硬くなって割れた状態をいう。予防には,ビタミンA,Dあるいは尿素を配合したハンドクリームが用いられる。

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百科事典マイペディア 「あかぎれ」の意味・わかりやすい解説

あかぎれ

手や足の皮膚の角質層の厚い部分に深いひび割れが生じ,内部が赤く見えたり出血したりするもの。冬に多いのは皮膚が分泌物の減少により乾燥するためで,ワセリンなどを塗るのは予防に役立つ。湿疹などの皮膚病から生じることもある。治療は,消毒して清潔な絆創膏(ばんそうこう)をはるか,各種軟膏剤を用いる。

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世界大百科事典(旧版)内のあかぎれの言及

【ひび】より

…手足や顔にできる皮膚の細かい浅い裂け目のこと。出血を伴い,赤くて深いものは一般にあかぎれと呼ばれる。寒冷による皮膚の脂腺・汗腺の機能低下,手足の不潔,洗剤類の使い過ぎ,体質,ビタミン欠乏などにより,皮膚,とくに最上層の角層が乾燥するために生ずる。…

※「あかぎれ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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